国史跡高宮廃寺跡内容確認発掘調査
国史跡高宮廃寺跡は寝屋川市東部、生駒山地からのびる丘陵(標高30~50メートル)の南傾斜地上に立地しています。周囲では古墳時代後期から飛鳥時代にかけての集落(高宮遺跡)が見つかっており、高宮廃寺を創建した古代氏族の居住域と推定されています。
昭和28年に大阪府教育委員会により行われた調査では、東塔跡の発掘調査が行われ、出土した瓦より寺院の創建が白鳳期(七世紀後半)と判明しました。さらに地形測量から寺院が双塔式伽藍配置であると推定されました。
その後、昭和54年に寝屋川市教育委員会により寺域全体の範囲確認調査が行われ、主要な伽藍の建物跡が確認されました。この調査の結果、翌年に国の史跡として指定を受けました。
史跡指定以来、現状で保存されていましたが、平成25年度から高宮廃寺跡の保存・活用に向けて過去の調査地の再発掘を含めた内容確認発掘調査を実施することになりました。
平成25年度発掘調査
調査箇所
金堂跡・東回廊跡
調査期間
平成26年1月14日~平成26年3月20日
調査成果
金堂跡は過去の調査区の再発掘と新たに調査区を設けて調査を行いました。その結果、金堂建物の基礎(基壇)を造成する際の工事の状況や建物規模が判明し、当時の地表面を確認することができました。さらに金堂跡の北東隅を検出したことにより、正確な建物基礎の規模が判明しました。
東回廊跡は過去の調査区の再発掘を行い、既往の調査成果通り回廊の基壇と思われる土壇を検出しました。
国史跡高宮廃寺跡内容確認発掘調査概要1 (PDFファイル: 1.3MB)
平成26年度発掘調査
調査箇所
東回廊跡・中門跡・南門調査区・史跡南調査区
調査期間
平成26年11月10日~平成26年12月26日
現地説明会を平成26年12月13日(土曜日)に開催しました。
平成26年度国史跡高宮廃寺跡内容確認発掘調査 現地説明会資料 (PDFファイル: 265.0KB)
調査成果
昨年度に引き続き行った東回廊跡の調査では、新たに北側に設定した調査区で東回廊跡の基礎(基壇)と思われる土壇の東側の立ち上がりが検出され、基礎の幅が判明しました。その幅から、東回廊は回廊ではなく築地塀であったことが分かりました。
中門跡については、過去の調査でその基礎が分かっていましたが、今年度の調査で基礎の造成方法が確認できました。建物の規模については今後の調査で解明していきます。
南門調査区では、これまで見つかっていない南門跡の解明を目的に調査を行いました。しかし、今回の調査では南門跡に関連する遺構は見つかりませんでした。南門の有無については、今後の調査で解明する予定です。
史跡南調査区では、史跡南側の土地利用を解明するために過去の調査区の再発掘を行いました。寺跡に関連するような遺構は検出されませんでした。
国史跡高宮廃寺跡内容確認発掘調査概要2 (PDFファイル: 1.6MB)
平成27年度発掘調査
調査箇所
中門跡・回廊調査区(3か所)・東塔跡・史跡西調査区(4か所)
調査期間
平成27年9月24日~平成28年3月31日
現地説明会を平成28年1月30日(土曜日)に開催しました。
調査成果
中門跡の規模を解明するため、昨年度調査区を拡張し調査を行いました。しかし後世の破壊により規模を確定させることはできませんでした。
回廊調査区は回廊南東隅、南回廊、回廊北西隅の遺構解明のため調査区を設定しました(回廊北西隅は再発掘)。回廊南東隅では平成26年度調査で明らかになった東塀の続きとそれから西に向かってのびる南回廊の遺構を検出しました。南回廊と回廊北東隅では校正の破壊のため回廊に関する遺構は見つかりませんでした。
東塔跡は昭和28年ぶりの調査となります。基壇(建物の基礎)は一辺約10.3メートル、高さは心礎の上面まで約1.3メートルを測ります。調査により掘込地業を行わず、地山上に版築し、基壇を構築している様子が明らかとなりました。現地に残っている心礎や礎石も当時の位置を保っていることも分かりました。
史跡西調査区では史跡指定地の西側の状況を確かめるため4か所に調査区を設けました。調査の結果、約3メートルの塀の基底部を検出しました。金堂中軸線からの距離を見ると検出した塀がほぼ等距離にあることから、中心伽藍の西を区画する西塀であることが明らかとなりました。
国史跡高宮廃寺跡内容確認発掘調査概要3 (PDFファイル: 1.6MB)
平成28年度発掘調査
調査箇所
- 講堂跡
- 北回廊調査区(3か所)
- 史跡北調査区
- 金堂調査区(2か所)
- 南門調査区
調査期間
平成28年8月下旬~平成29年3月末(予定)
現地説明会を平成29年2月18日(土曜日)に開催しました。
更新日:2021年07月01日