第2回ねやがわ建築賞

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第2回ねやがわ建築賞の開催にあたり、ご応募ならびにご推薦いただきました皆さまに厚くお礼申し上げます。

ねやがわ建築賞 事務局

ねやがわ建築賞表彰式が行われました

開催日:令和5年2月4日(土曜日)

開催場所:寝屋川市立地域交流センターメインホール

第2回表彰式記念撮影

市長賞

寝屋川の家

建築主:個人

設計者:若林秀典建築設計事務所

寝屋川の家01
寝屋川の家03
寝屋川の家02

撮影:笹倉洋平

講評

「寝屋川の家」は、友呂岐緑道から路地に入った先の狭小地に建っています。

外から見ると大きな高窓がひとつある小さな箱の家です。内部に入ると、1階玄関から納戸を通して反対側の壁まで見通すことができます。直階段を7段登り、次に螺旋階段を5段登ると反対側の壁に加えて高い吹き抜けの天井が見えてきます。ここに住む家族は、小さな箱の内部を最大限に楽しみながら豊かな生活ができるように感じました。

隣の家との距離が近い1階の窓は必要最小限とする一方で、最上層のキッチンの正面にある高窓は、北側に伸びる路地に向けて大きく開いています。リビングの天井面には光と風を通す小さな天窓があります。大きな高窓と小さな天窓は、刻々と変化する外部の自然環境を内部に届け、日々の生活に彩りを与えてくれることでしょう。

この小さな箱の家には、これらの工夫により狭小地に住む楽しさがあります。以上の優れた設計により市長賞として高く評価しました。

選考委員会 委員 久冨敏明

特別賞

焼杉の家-中庭のある四角いドーナツ-

建築主:個人

設計者:HAMADA DESIGN

焼杉の家01
焼杉の家02

撮影:笹倉洋平

講評

敷地は住宅地とはいえ通勤通学時に自転車、自動車が頻繁に行きかう生活主要道路に面した角地にあり、西側、南側二方向の道路に面し、南側を駐車場スペースとして広く空け住宅は北側に寄せて配置されている。このことで南西角の道路の見通しが良くなり、クランクしている道路の安全性が向上している。

住宅は騒がしい道路に面して大きな開口を設けず閉じており、中庭を設けすべての部屋がここに面して計画されている。中庭を介して家族のつながりの強さを感じることができる。中庭には南側の平屋の屋根越しに北側の二階建て部分にあるリビング、寝室などに太陽光が降り注ぎ、明るく居心地のいい部屋となっている。また北側軒高が低く抑えられており北側隣地への気遣いとして評価できる。

外観は、周辺の街並みと調和するよう、切妻勾配屋根とし、何かしら懐かしさを感じる焼杉板が使われている。

築9年近くたっているが、建て主の「住みやすいです」という言葉がこの住宅の評価そのものであるといえる。中庭のシマトネリコが道路から見えるまでに成長し「焼杉の家」が周辺の良好なまちなみ形成に寄与することを願う。

選考委員会 委員 沼田亘

優秀賞 住宅部門

HouseT-立体的に繋がる家-

建築主:個人

設計者:HAMADA DESIGN

HouseT01
HouseT02

撮影:笹倉洋平

講評

この作品には2つの大切な建築要素があると感じている。
「周りを思いやる建築」

一見すると閉ざされた印象だが、周辺に対する敷地特性を周到に読み取られた計画である。小さな壁と開口部からなる北側ファサードが街並に貢献するアイコンとなり、一歩中に入れば、視線制御された南側中庭を望む立体的な吹抜けが迎えてくれるなど、周辺との在り方の最適解とも考えられる。

「次世代を思いやる建築」

竣工から10年経つがオリジナルのまま使われていることから、建築主の将来の暮らしを見据えて設計され、愛されて使い続けられたことが想像される。このことは昨今話題になっている空き家政策にも通じると思われ、長く使い続けられる建築のあり方の好例ではないだろうか。

このような、周りに愛され長く愛される建築が、これからも寝屋川市から育っていくことを期待している。

選考委員会 委員 北澤誠男

優秀賞 一般建築部門

香里ヌヴェール学院食堂計画

建築主:香里ヌヴェール学院

設計者:株式会社住まい工房 集+kotarookuda architect office一級建築士事務所

ヌヴェール学院01
ヌヴェール学院02

撮影:浅野豪

講評

有名建築家アントニン・レーモンドが手掛けた歴史ある学校の中で唯一残されたモダニズム様式の元室内体育館という巨大な空間に食堂を設けたいというクライアントの要望を真摯に受け止め、作り上げられた作品と思われる。

鉄筋コンクリートの既存建築物の構造を考慮しながら教室からの動線に新たなギャラリーを設けたり、昔の生徒たちの思いを彷彿させるフローリングを改修復活させるなど作業工程の中にも、さまざまのところに施工の努力が伺えさせる作品です。また、厨房と食堂をカトリック学校の象徴を果物に表現しデザインとした絵を描いた間仕切りを作ることで、食事時以外にも生徒達の憩いの場としても利用でき、中庭と一体になることで災害時だけでなく地域の集まりにも貢献できる楽しい空間を作り上げたところを評価しました。

選考委員会 委員 上田寛

優秀賞 一般建築部門

SANPA食堂-街とつながる、人とつながる-

建築主:個人

設計者:HAMADA DESIGN

SANPA食堂01
SANPA食堂02
講評

受賞のポイントは、のれんごしの前面道路への開き方であったかと思います。前面道路が車通りでなく、歩行者や自転車のみの道であることのスケール感が、木製引き戸や、エントランスのモルタルに象嵌された文字により、親密な雰囲気を創り出しています。

その親密な雰囲気を店内のインテリアデザインにより、より居心地の良い空間が広がっています。審査の後は伺えていませんが、次回はぜひ、素晴らしい空間と食事を味わいに行きたいと考えております。

選考委員会 委員長 前田茂樹

 

総評

まずは第2回ねやがわ建築賞にご応募いただきました応募者の皆さまに、コロナの感染者数が落ち着いていない時期での現地視察を、調整くださり、審査員一同御礼を申し上げます。

昨年度も申し上げましたが、ねやがわ建築賞の意義について、3つくらいあるのではないかと思っています。

1つ目は、敷地の外側から見られる景観の意識を、設計者と事業者双方がもつことです。事業者にとっては、景観に配慮することは、事業上のメリットではない場合もあるかもしれません。けれども、会社や病院、また住まいのある地域の景観が少しでもよくなる意思があると、設計者は非常に励みになることが多く、その景観への意識がその周辺へと波及していくことを考えます。

2つ目は、独創的なデザインであることです。これは難しい問題ではありますが、単に奇抜なものであればいいというわけではなく、審査員としては、敷地や依頼主の特殊な条件を建築の配置や形、素材などの組み合わせで解くことで、必然的に独創的なデザインに到達した建築を選定しました。

3つ目は、独創性とは逆かもしれませんが、その解決策の社会的な効果です。寝屋川建築賞では、住宅と非住宅を同時に審査することになっていますが、それぞれの敷地やプログラムを超えて、ねやがわ市において今後、類似の建築が建てられる際に、それぞれのポイントでの配慮について、広い意味での市の方針になりえるものを選びたいということです。

これは、今後ねやがわ建築賞をいかに、今回応募されなかった方、今後建設を予定されている方々に如何に周知していくか、という宿題を、今年も市役所の皆さんに問いかけることになりますが、我々審査員も具体的な展示場所や方法についても引き続き協力してきますので、どうぞよろしくお願いします。

最後に、第2回ねやがわ建築賞の準備にあたり、初めてのことでしたが、審査会で滞りなく進行できましたのは、四方八方に尽力くださいました市役所の皆さまのおかげです。審査員一同を代表してお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

選考委員会 委員長 前田茂樹

第2次選考

選考日:令和4年12月18日

第1次選考

選考日:令和4年10月29日

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更新日:2023年04月14日