第1回ねやがわ建築賞

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第1回ねやがわ建築賞の開催にあたり、多数ご応募いただき、誠にありがとうございます。

おかげさまで、素晴らしい応募作品の中より6作品が受賞されました。

ご応募ならびにご推薦いただきました皆さまに厚くお礼申し上げます。

ねやがわ建築賞 事務局

ねやがわ建築賞表彰式が行われました

開催日:令和3年11月20日(土曜日)

開催場所:寝屋川市立地域交流センターメインホール

市長賞

同志社香里中学校・高等学校メディアセンター繋真館

建築主:学校法人 同志社

設計者:八木佐千子/NASCA+partners

撮影:浅川敏

講評

この建築は、中学高校の立地する敷地選定を含めたプロポーザルにて選定され、設計者が中庭を選定されたと伺いました。
中庭の本来持っている機能を失わせずに、中庭を再構成すると同時に、礼拝堂へのアクセスの不便さを解消するコンセプトを、様々な法的な解決を行って実現したことが評価されました。
また既存の中庭にあった樹木を残しながら、透明性を確保することで、延べ面積が877平方メートルとそこまで大きな規模ではないが、変化に富む内部空間を持っています。また機械室の上に読書室を設けて、見渡せる場所を設けるなど、建築計画、デザイン、家具、ICTを一体として新しい学びの場所を創り出すことに成功しています。
以上から市長賞に価する作品であると考えております。

選考委員会 委員長 前田茂樹

特別賞

図と地のリノベーション

建築主:個人

設計者:濱田 猛

撮影:笹倉洋平

講評

「図と地のリノベーション」は、4人家族の住まいです。クライアントと設計者は、床面積約90平方メートルの限られたスペースに、どのような住まい方をするかを検討しました。

その結果、4人の寝室を最小限にする一方で、昼間に家族が生活するスペースを最大限にしました。また、この作品の特筆すべき点は、マンションの限られた天井高さのなかで、梯子で上がるロフトスペースをつくりだしたことにあります。つまり、マンションリノベーションに対して、高さ方向の設計が可能であることを実現されました。

以上の優れたデザインが、高く評価されました。今後、このマンションリノベーション作品の成果により、若年層の方が、寝屋川市の既存の集合住宅に生活の場を求めることを期待します。

選考委員 久冨敏明

優秀賞 新築部門

内に開く家

建築主:個人

設計者:株式会社住まい設計工房

講評

外から見ると壁に囲まれ閉鎖的な建物に見えますが、一旦中に入ると住宅地の一角にも関わらず近隣の建物からの目線も気にせず、開放的な生活ができる建物であり、まさに内に開く家であります。

白を基調とした清潔感、玄関の床タイルのこだわり、2階への階段の工夫などで玄関ホールに解放感を持たせ、中庭の樹木、生活感を感じさせないキッチン周りの納まり、各部屋のドアの納まりなど細かい所に工夫をなされており、お仕事がデザイナーである建築主の思いと設計者施工者の技術が一体となり作り上げられた、家族全員が楽しく過ごせる素晴らしい建物である所を評価しました。

選考委員 上田寛

優秀賞 新築部門

四畳半キューブの家

建築主:個人

設計者:濱田 猛

撮影:笹倉洋平

講評

テレビや雑誌などで知っていた建築であったが、実際に拝見してみて、こんなお宝が寝屋川に有ったのか、という印象を受けた建築の一つである。このプロジェクトには2つの大きな意義があると考えられる。

一つ目が、建築の新しい在り方についてのヒントがあるということである。

このところ、個と全体の関係、全体と外部の関係、などアフターコロナ時代の建築手法を様々な設計者が模索するなか、日本の伝統的な建築手法が見直されつつある。

街に建つ多くの建築手法は明治以降たったの百数十年程度の未成熟な手法であるが、このプロジェクトでは柔らかく仕切る障子や襖の手法など、千年以上続いた日本の伝統的な建築手法を体現されているのではと感じられる。

キューブを開けると大部屋に繋がり、大部屋を開けると外へと繋がるなど、色々な場の在り方を可能にし、現在の言葉ではフレキシビリティやサスティナビリティなどに置き換えられる豊かな空間が広がっている。

二つ目は、このような古くて新しい住み方が寝屋川市にあることである。

こんな建築が良いな、こんな街が良いな、こんな寝屋川が良いな…と感じることができる一つの好例ではないだろうか。この第一回ねやがわ建築賞をきっかけにして、寝屋川に笑顔が広がり、寝屋川に住みたいという人が増え、建築行政ひいては寝屋川市が益々発展することを期待してやまない。

選考委員 北澤誠男

優秀賞 新築部門

SINKO AIR DESIGN STUDIO

建築主:新晃工業株式会社

設計者:株式会社竹中工務店大阪本店

講評

「SINKO AIR DESIGN STUDIO」の計画敷地には、1971年に完成した技術研究所がありました。その建物の一部を使用しながら、既存棟をかわすL字の作りで今回の新しい計画が建築されました。

移転することなく、同じ土地に新しく建設することにより、寝屋川市の資源のひとつである工業地域のまちづくりと、その景観に対して大きな貢献をされました。

建築デザインは、南側、及び西側に大きな開口部を設けることにより、外部に対して開放的な内部をつくると同時に、日射による熱負荷を軽減する設計になっています。その成果により、BELS評価5つ星、CASBEE評価Sランクを達成されました。

以上の優れた設計により、オープンに繋がる内外部空間と環境性能を両立させたことを評価しました。

選考委員 久冨敏明

優秀賞 リノベーション・リフォーム部門

香里三井C団地リノベーション「ニコイチ」

建築主:大阪府住宅供給公社

設計者:株式会社パーシモンヒルズ・アーキテクツ一級建築士事務所

撮影©KentaHasegawa

講評

建築後50年以上経過(昭和45年竣工)した古い5階建て団地の空き家をリノベーションしたものである。住民の高齢化にともない、団地の上層階から空き家が増え、45平方メートルの住戸が住まい手のニーズを満たしていないという課題に対し、隣り合う空き住戸をつなげ、90平方メートルの住戸とし、高齢化した団地に若年層を呼び込む「ニコイチ」住戸としてつくられたものである。

対象住戸はデザイン関係の仕事をしている若い夫婦が住んでいる。DIYのリフォームも許されており、住み手のライフスタイルに合わせた個性的な住戸となっている。

古い団地に「ニコイチ」を入れることで、個性豊かな若者の居住が増え、新たな価値が創造され、活力ある団地として再生されることを期待している。

選考委員 沼田 亘

総評

まずは第1回ねやがわ建築賞にご応募いただきました応募者の皆さまに、今ほどコロナの感染者数が落ち着いていない時期での現地視察を調整くださり、二次審査が充実した審査となったこと、審査員一同御礼を申し上げます。

ねやがわ建築賞の意義について、述べさせていただきます。

景観に配慮するということは、法的に求められているものでもなく、事業者にとって事業上のメリットではない場合もあるかもしれません。けれども、会社や病院、また住まいのある地域の景観が少しでもよくなる意思が事業者や建て主様にもあると、設計者は非常に励みになります。と同時に、新しい建築によって素晴らしい景観・環境が形成されるということは、地域全体の価値を上げることにもつながると考えます。

今回の審査は景観に限らず、独創的なデザインであること、居住環境の形成において素晴らしいこと、敷地全体のデザインが考慮されているか、環境技術への配慮などを審査していますが、審査員でも賞を選定する議論の際に出た言葉がございますので、その言葉を紹介します。

それぞれの敷地やプログラムを超えて、寝屋川市において今後、類似の建築が建てられる際に、それぞれのポイントでの配慮について、広い意味での市の方針になりえるものを表彰したいということです。この意図をもち、審査員一同は審査に挑みました。

最後に、第1回ねやがわ建築賞の準備にあたり、初めてのことでしたが、審査会で滞りなく進行できましたのは、四方八方に尽力くださいました皆さまのおかげです。審査員一同を代表してお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

選考委員会 委員長 前田茂樹

第2次選考

選考日:令和3年10月17日(日曜日)

選考方法:寝屋川市建築住宅賞選考委員5名による現地審査の後、審議を経て受賞作品を決定

受賞作品:6件

第1次選考

応募総数:28件(対象外1件)

(内訳 新築部門:21件、リノベーション・リフォーム部門:7件)


選考委員会による厳正なる審査の結果、9件が第1次審査を通過しました。

10月中旬に現地審査を行ったのち、表彰建築物が決定します。

更新日:2022年04月07日