令和8年7月号 絵本「ナーシャとミリ」を出版 お面のネコと無邪気な少女の物語 絵本作家 中東祐香吏さん
「ナーシャとミリ」の原画の前で
いつもお面をかぶっている主人公のネコと無邪気な女の子の友情を描いた絵本『ナーシャとミリ』(みらいパブリッシング)。仕事や子育ての経験を経て、大学生の時の着想から15年目の出版にこぎつけました。
「生きづらさ」をテーマに
美術大学で洋画を専攻。画家を目指す一方、「いつか絵本作家に」との夢を抱き、初めての作品が4年生の時に描いた『ナーシャとミリ』でした。
顔の傷にコンプレックスを持ち、人づきあいが下手な主人公が、好奇心旺盛な女の子に救われていくという物語で、テーマは小・中学生の頃に感じていたという?生きづらさ?。不思議なお面で顔を隠すナーシャに自身の思いを重ね、公募展に応募しました。しかし大学の課題に追われ、不完全な作品のまま出して落選。「きちんと作り直して出版しようと決めました」。
育休中に編集者の目にとまる
卒業後、子どもを支援する仕事などに就きながら絵本のネタも増やしていた2年前にチャンスが巡ってきました。小学生の頃の疑問をヒントに考えた『とうめいいろってどんないろ?』のストーリーを三女の育休中に応募。これが編集者の目にとまりました。
「実はほかにも温めてきた本があります」と打ち明け、『ナーシャとミリ』のストーリーを読んでもらいました。すると「絵を付けて公募展に入賞したら出版しやすいですよ」とアドバイスをもらい、助言どおりに「第13回絵本出版賞」に応募。見事、煌(きら)めきフューチャー賞を受賞しました。
原作のページ構成見直す
応募作品はあらすじを変えず、台詞(せりふ)やページの構成を見直しました。「ミリに追いかけられるナーシャの場面を増やし、絵だけのページも設けてメリハリをつけました」。
描かれている町並みは大好きなイタリア南部の田舎町をイメージ。アクリル絵の具と色鉛筆を使って、写実的でありながら、どこか幻想的な世界を表現し、大学時代の応募作より9ページ多い32ページにまとめました。
「心が軽くなってくれれば」
PRを兼ねてクラウドファンディングで協力も呼びかけ、昨年9月に出版。全国の精神小児科がある施設などに約400冊の絵本を贈りました。
「仕事で子どもと接し、3人の子育ても経験して出版できました。いろいろな見方ができる絵本になり、生きづらさを感じる人たちの心が少しでも軽くなってくれればうれしい」と話します。
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6月には大阪市内で漫画家の堀充里さんと二人展を開き、原画などを展示。今回の出版が縁で、女の子が不思議な体験をするという絵本『へびいわのひみつ』の絵を担当することになり、来年1月に出版される予定です。
絵本「ナーシャとミリ」
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更新日:2026年06月25日