令和8年1月号 学生たちとドローン研究 自動飛行で災害時の活用に期待 摂南大学教授 片田 喜章さん

摂南大学教授 片田 喜章さん
飛行実験に使うドローンは直径約1メートル。4つのプロペラで人工芝の大学グラウンドを飛び立つと、決められた1キロメートルのルートをたどって出発地点に戻って来ました。送信機による手動操作の必要がない6分間の自動飛行に「災害現場で探索などに利用できれば」と期待を込めます。
高校生でロボット工学を志す
市立堀溝小学校在学時にアニメ『機動戦士ガンダム』を見て育った世代。父親が経営する鉄工所ではボルトやナットで遊び、プラモデルやラジコンに熱中した少年でした。
高校生のとき、宇宙までそびえる塔をロボットが建設するテレビCMを見て「これだ!」と直感しました。ロボット工学を志して神戸大学に進み、博士号(工学)を取得。市内の自宅から約20分の摂南大学に着任し、ハチやアリのように集団で動く“群れロボット”を研究してきました。
「ドローンを飛ばしてみないか」
「小型のコンピューターを載せて自由に飛ばしてみないか」。ドローンがビジネスやホビー用として人気になった約10年前、所属する理工学部電気電子工学科の学生たちとの会話が研究のきっかけでした。
ドローンは複数のプロペラを持つ小型の無人飛行機。カメラやセンサーを搭載し、荷物の配送や測量、点検などいろいろな分野での活用が期待されている中、「AI(人工知能)を使い、複数のドローンが自動で飛べる最適なルートを決める方法について研究しています」。
100地点の自動飛行に成功
実験で使っている産業用ドローンは重さが約10キログラムあり、1回の充電で約40分間飛行。複数のドローン同士が衝突せずに決められたルートを最短で飛ぶことができれば、より広いエリアで活動ができます。
しかし、複数の場所を飛んで出発地に戻るルートは数多く、10地点でも約18万通りもあります。このため、100台ものパソコンをつなぎ1時間かけて計算。5機のドローンで分担した最適なルートを記憶させて飛ばす実験を行っており、すでにシミュレーションで4000地点、実際のドローンでは100地点を通る自動飛行に成功しています。
大学のグラウンドで学生とドローンの実験を行う片田さん(中央)
発災直後の情報収集に活用
活用が期待される場面の一つは大規模災害時の調査や探索です。あらかじめ飛行ルートや範囲を設定しておけば、人の立ち入りが難しい場所でも被害状況を確認できます。
市内の一般道路では国道1号や170号などが災害時の広域緊急交通路に指定されており、この幹線道路につながる生活道路や住宅の被災状況の把握を想定。いくつかの地域では自動飛行のシミュレーションも試行しており、「災害が起きた直後からドローンによる情報収集が可能になり、迅速な対応が期待できます」と実用化に向けた研究にも熱が入ります。
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更新日:2025年12月23日