令和7年7月号 楽しさ広がる俯瞰図の世界 鳥の目線で店内を描く 一級建築士 駒井靖彦さん

一級建築士 駒井 靖彦さん
天井を取り払い、上からのぞいたような店内のイラスト。遠近法で立体的に描かれた俯瞰図(ふかんず)は内部の様子が一目で分かり、「普段見ることができない目線で描写できるところが楽しい」とその魅力を話します。
母親にもらった本がきっかけ
「名刺の肩書きはバードアイビュー・アーティスト」。飛ぶ鳥の視点で見たような俯瞰図と出会ったのは50年以上も前です。当時、工業高等専門学校の5年生。語学研修でフランスやドイツを訪れたときに母親にもらった1冊の本がきっかけでした。
著者は舞台美術家。ヨーロッパの旅で泊まったホテルの部屋を上から見下ろしたイラストに魅了され、「自分も描いてみたい」と思いました。ところが建設会社に就職すると仕事に追われる毎日。描く余裕ができたのは退職前の65歳のときでした。
窓やテーブルは 目測でスケッチ
建築士という職業柄、平面図や間取り図の作成はお手のもので、まず店内の壁を四方に広げた展開図を描きます。目測で寸法を割り出したドアや窓、テーブルやいすを展開図に一つ一つ落とし込み、自宅に帰って別の用紙に立体的に再現。最後に「店内の写真を参考に透明水彩絵の具で色付けし、1週間ほどで完成します」。
初めて描いたのは大阪市の職場に近いバーを兼ねた喫茶店でした。周辺は市中央公会堂などの近代建築が多く、バーがテナントで入る4階建ての芝川ビルも昭和2年の完成。カウンターや棚に洋酒の瓶が並び、「なかなかおしゃれ」と気に入りました。
定規使わず 優しいタッチで描写
2階のブティックは「女性客が多く、開店前に描かせてもらいました」。装飾が施された天井の梁(はり)やシンボル的存在の暖炉を俯瞰図の周りに描いて店の雰囲気を伝えており、作品展に初めて応募し入賞しました。
どの作品も定規を使わず、手描きの優しいタッチで描写。店内でスケッチをする自身の姿もさりげなく描かれています。作品は縮小してポストカードに。京都市の銀閣寺に近い洋食店を描いたカードは3年前の絵葉書展で入選しました

作品展で初入賞した芝川ビル2階のブティックを描いた作品

京都市にある洋食店を描いた作品。周りに店がある洋館なども描かれています
「興味は尽きません」
作品は俯瞰図にとどまらず、JR大阪駅前にあった近代建築の旧大阪中央郵便局舎などもスケッチ。これまで描いた作品は合わせて約240点にもなり、毎年個展で披露。「古い建物やお店は随所に職人技も見られ、興味は尽きません。作品を見て、行ってみたいと感じてもらえたらうれしい」と話し、9月の個展に向けて新作の制作に励んでいます。
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更新日:2025年06月25日