令和4年10月号 「『風と音』を感じてブラインドセーリングを楽しむ」 鏑木佐和子さん

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ヨットに乗り込む鏑木さん

ヨットを操作し、ブイに向かう

ガイドヘルパーの補助を受け、ヨット仲間と談笑する鏑木さん

「風と音」を感じて ブラインドセーリングを楽しむ

鏑木(かぶらぎ)佐和子(さわこ)さん(56歳・香里西之町)

頬に当たる風と音を頼りに操るブラインドセーリング。目が不自由な鏑木佐和子さんは障がいがある人でも操作できるアクセスディンギーと呼ばれるヨットと出会い、それまで味わったことがない「スピード感と自由」を満喫しています。

7月の週末、大阪市の大阪北港マリーナでアクセスディンギーのレースが開かれました。桟橋にはボランティアが準備してくれたカラフルな帆のヨットが10数艇。様々な障がいを持つ選手が参加し、その中に鏑木さんの姿もありました。

出会いは体験教室

3歳のとき、薬の副作用が原因で弱視になりました。視力は0・01。近くにある物の輪郭が分かる程度で当時の盲学校に通い、短大を卒業後に会社勤めなどを経て現在は大阪府の職員として働いています。
アクセスディンギーの存在を知ったのは20年前です。いろいろなパラスポーツを体験するイベントに参加。「海が大好きな私は初めてヨットに乗り、ものすごく楽しかった」と振り返り、障がいの有無にかかわらずセーリングが楽しめる「セーラビリティ大阪」で活動を始めました。

風向きを頬で感じ

レースは海面に浮かぶ2つのマークブイを周回してタイムを競います。当初は健常者とペアを組んで参加しましたが、ある日、音が出るブイの存在を知りました。「これがあれば見えなくても音を頼りにブイまで走れそう。私も一人でレースに出てみたい」。ワクワクしながらボランティアに頼み、大きな音で鳴り続けるブザーを取り付けてもらいました。
ブイに向かって速く走らせる技術の習得も大変でした。それまで「気まぐれな風にただ押されるまま」に乗っていましたが、風向きを肌感覚で把握し、ヨットの向きをよりスピードが出る“クロースホールド”の状態にする必要がありました。
このため操作が上手な人に操船してもらい、風がどの方向から吹いてくるのかを頬で体験。さらに「一人で舵(かじ)を動かしてクロースホールド状態を再現できるように何度も練習し、コツをつかむまでに3年ほどかかりました」。

「とても自由だ!」

昨年は一人乗りのレースに3回出場。三重県で行われた全国ブラインドセーリング大会では「風がほとんどなく少し残念でした」と言いながら5人中2位に入りました。
アクセスディンギーの魅力を「風や波、自然を最も身近に感じることができます。車を運転できない私にとってヨットは、自ら操縦してスピード感が味わえる唯一の乗り物。だからアクセスディンギーに乗っているときは『とても自由だ!』と思えるのです」。
そして「ヨットの準備や海上でトラブルが起きたときに手助けをしてくれるボランティアの方々がいてくれるからこそ楽しめるのです」と感謝も忘れません。

アクセスディンギーとは

全長2m~3mで1人~2人乗りの小型ヨット。舵を動かすレバーと帆の張り具合を調節する1本のロープで操作でき、船底に約20kgの重りが付いているため転覆しないなど誰でも安全に乗れるように設計されています。

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更新日:2022年09月26日