令和4年2月号 「ほかにないものを作りたい 親子でカホン制作」 川本忍さん・明さん

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カホンを鳴らす明さん

ギター工房で、制作したギターの前に立つ忍さん

「ほかにないものを作りたい」 親子でカホン制作

川本(かわもと)忍(しのぶ)さん・明(あきら)さん(76歳・35歳、寝屋川公園)

父親の川本忍さんはかつてアマチュア楽団でクラシックギターを弾き、息子の明さんは収録スタジオを運営。音楽が共通点の川本さん親子は今、南米のペルーが発祥のカホンという打楽器制作に情熱を注いでいます。

丸い穴が開いた木箱のようなカホン。中に響き線というギターの弦などが張られており、側面をたたくことで多彩な音を出すことができます。大学生のときにその存在を知った明さんが父親とカホンの制作を始めたのは6年前のことです。

大工の技生かしてギター制作

忍さんは中学生のときにクラシックギターを始め、26歳でギターとマンドリンの楽団に入りました。工務店の家庭に育ち、大工仕事をしながら活動。納得のいく音を求めて高価なギターも弾きましたが、満足のいく楽器に巡り合えませんでした。
「木を扱うのが大工。それなら自分で作ってしまおう」。ギターの構造や素材の資料を収集し研究すること約10年。40歳を過ぎて構えたギター工房で制作に没頭しました。
ギターの音を決めるのが素材。「乾燥し硬さと粘りがある木材が最良。仕事柄、古家やお寺を解体することがあり、質の良い廃材を利用したこともあります」。大工の技を駆使し、受注制作したギターは約80本。このとき培った経験や技能が後のカホン作りにも生きてきます。

「父と一緒に楽器を作りたい」

明さんは大学を卒業後、焼き肉店などを開き、その後、収録スタジオを開設。音楽関係の仕事に携わり、「父親と一緒に何かを残したい」と考えるようになりました。そこで浮かんだのが大学時代に手にしたカホンです。忍さんもすぐに設計図を作り「本格的にやってみよう」と応じました。
平成28年、親子で川本楽器工房を開業し、「父親の楽器を後世に残したい」とブランド名を「忍カホン」と命名。試作を重ねる度にカホンの奥深さにはまりました。

「ほかと同じでは面白くない」

「ほかにないものを作ること」が、“音の表現者”を自認する二人の信念です。外国産材の使用が多い中で、国産材だけで制作したカホンもその一つ。一枚板を使い、ギターで使われている構造も応用しました。
現在開発している高さ6cmの小さなカホンもアイデアが満載。小さなカホンはほかにもありますが、「指でたたいてリズムを刻むパーツを組み込むことで全く違う楽器になりました」と明さんは話します。
「私の構想やアイデアが技術的に可能かを見極め、具体的な形にしサポートしてくれるのが父。いなくてはならない存在です」と明さんが言えば、忍さんは「頼りにされてうれしい」と目を細めます。

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更新日:2022年01月26日