令和3年4月号 脳梗塞を乗り越えて 勝間としをさん


百貨店で開かれた個展で

展示会場で作品作り
脳梗塞を乗り越えて
勝間(かつま) としをさん(70歳・香里北之町)
一時は生きる希望を見失ったといいます。突然の病で利き腕の自由を奪われたイラストレーターの勝間としをさんを救ったのは、友人に頼まれて描いた1枚の猫の絵でした。
病に倒れ、絵筆持つ手がマヒ
デザイン学校を卒業。アニメーターなどを経てフリーのイラストレーターや漫画家として活動していた勝間さんが脳梗塞で倒れたのは平成22年12月、59歳のときでした。2週間生死をさまよい命は助かりましたが、左半身がマヒ。後遺症が残り、絵筆を持つ利き手の左手が使えなくなりました。
「友人たちの応援もありリハビリに励みましたが、精神的な浮き沈みも激しく、生きる気力を失いかけたこともありました」。
CGで描いた猫の絵が評判に
半年間のリハビリ後に退院。絵筆を右手に持ち替えて社会復帰を目指しましたが、以前のように描くのは簡単ではありません。違う表現の方法はないかと模索。パソコンのマウスを右手で操作して絵を描くようになりました。コンピューターグラフィックス(CG)です。
「そんなときに、友人から飼い猫の絵を描いてほしいと頼まれ、フェイスブックで紹介すると反響がありました」。これをきっかけに猫をテーマに次々と作品を発表。2年ぶりに制作活動を再開しました。
すると「個展を開きませんか」という誘いが相次ぎました。手描きの作品にこだわった勝間さんは最初遠慮したそうですが、熱心な誘いに5年前、大阪市内の喫茶店で初めて作品を展示しました。
さらに埼玉県内で画商を営む女性からも声を掛けられ、作品を版画にした個展「猫のつぶやき展」を百貨店で開催。版画家としても活動を始めました。
作品に野良猫の思いも添えて
描かれた猫の多くは野良猫や保護猫。その一つ一つに、人と出会って幸せになった猫の思いを表現した詩が添えられています。
「入院中によく詩を作っていたのですが、病気で辛かったときの姿が野良猫と重なり、多くの人に出会い勇気づけられた思いなどを言葉に込めました」。
母親と訪れた入院中の高校生が愛らしい猫や心温まる言葉に感激し、「退院したら私も頑張ります」と言って病院に戻って行ったこともありました。
「作品を通してエール送りたい」
予想外のこともありました。2年前の夏、右手に絵筆を持ってキャンバスに向かったところ、すぐに絵を描くことができたのです。「右手でマウスを操作していたのがよかったのでしょうか」と話し、以前と同じような感覚を取り戻したといいます。
2月に大阪市内で開かれた「幸せ猫展」には版画のほか、右手で描いたアクリル画も展示。「多くの人に励まされて今の私があり、今度は作品を通してエールを送ることができたらうれしい」と話しています。
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更新日:2021年07月01日