令和3年7月号 「漢字のルーツにロマン求め」 山本史也さん

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「もっと漢字の魅力を伝えたい」と話す山本さん
増補新版 神さまがくれた漢字たち

「増補新版 神さまがくれた漢字たち」

カメの甲らに刻まれた甲骨文字

カメの甲らに刻まれた甲骨文字

「漢字のルーツにロマン求め」

山本(やまもと) 史也(ふみや)さん(71歳・池田東町)

私たちが使っている漢字のルーツと言われる古代の甲骨文字(こうこつもじ)。何か難しそうですが、元高校教師の山本史也さんが子ども向けに出版した入門書は異例のベストセラーとなりました。

教師の傍ら大学院で研究

「甲骨文字って何?」という疑問に山本さんは「その名のとおり、カメの甲らや牛などの骨に刻まれた文字です。両手で持った網で魚を捕る様子を表した文字が現在の『漁』になるように、その形から今の漢字をイメージできる文字もたくさんあります」。
約3300年前に作られた古代の文字に関心を持ち、研究を始めたのは山本さんが立命館大学の大学院時代です。高校の国語教師をしながら授業が終わると、漢字研究の第一人者でのちに文化勲章を受章する白川静教授の元に通い詰めました。
「漢字は単に形と形を組み合わせたパズルみたいなものと思われていましたが、成り立ちや意味を古代の人たちの生活などに沿った白川先生の新たな解釈に興味を持ちました」と話します。

子ども向け図書執筆に苦心

白川教授が所長を務めていた文字文化研究所に「子どもにも分かる甲骨文字の本を書いてほしい」と出版社から依頼があり、副所長の山本さんが執筆することになりました。43歳のときでした。
当時、古代の文字を扱った子ども用の本はなく、どんな内容にしようか編集者と頭を悩ませたといいます。
そして「雨は降るのか、作物は実るのかという占いや祈りで王が神とやり取りする方法として甲骨文字が生まれたことや文字の成り立ちを6つの物語でつづることにし、表紙のイラストやデザイン、タイトルも工夫しました」。

世代を超えベストセラーに

<中国の遠い遠い昔のこと…>で始まる『神さまがくれた漢字たち』(理論社)は評判になり、入試問題にも取り上げられました。テレビやラジオの出演依頼も相次ぎ、「ラジオでは、音声だけで漢字の魅力を伝えられるかに挑戦しました」と振り返ります。
初版の後に続編も出され、3年前には10年ぶりに『増補新版 神さまがくれた漢字たち』(新曜社)も出版。累計が10万冊を超えるベストセラーになった理由について編集者は、「わかりやすく手軽な書籍がなかったことや、学校の副読本に採用されたり世代を超えて読まれたりしていることが考えられます」と話してくれました。

漢字の魅力もっと伝えたい!

山本さんは高校の授業をはじめ、寝屋川市・四條畷市の図書館や学習塾での講座でも取り上げ、昨年は「古代の病」をテーマに中国の人たちがどう対応してきたかを語りました。
最近はコロナ禍の影響から講座で話す機会もめっきり減りましたが、「漢字は単に記号ではなく、古代の人たちの考え方や生活様式を知ることにつながり、もっと漢字の魅力を伝えたい」といいます。

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更新日:2021年07月01日