令和2年12月号 ヨットで単独本州一周 世界の海へ夢膨らむ 吉富 愛さん

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笑顔で写っている吉富愛さんの写真
手前左側にヨットの縁に腰かけている神戸大学チームの選手、その奥に3艘のヨットが写っている写真

世界大会でゴールし、総合優勝した神戸大学チーム(フランス・マルセイユ沖で)

ヨットで単独本州一周 世界の海へ夢膨らむ

吉富 愛(よしとみあい)さん(23歳・黒原橘町)

 大学でクルーザーヨットの楽しさを知り、4年生のときに単独で本州を一周。来年には航海士として外国航路にデビュー予定で、世界の海へと夢は広がっています。

風の力で進むヨットにひかれて

 「世界と日本を結ぶ仕事がしたい」と、神戸大学海事科学部に進学したのが海との出会いでした。中学、高校と吹奏楽部で活動した文化系女子が、風の力だけで進む姿にひかれてクルーザーヨットで帆走するオフショアセーリング部に入りました。
 部員は約100人の大所帯。「クルージング、レース、整備といろいろな楽しみ方があり、私は全てに関わりました」。部活が世界大会につながるのも魅力だったといい、2年生のとき、フランスで開かれた学生外洋帆走選手権に神戸大学クルーの一員として出場。強豪国が多い欧州勢を抑えて見事、世界一に輝きました。

大学休学し本州一周へ

 全国のヨットマンとも交流。これが新たな挑戦につながりました。「世界一周を成し遂げた人たちの話を聞いて外洋に出たいとの思いを強くし、本州一周を決意しました」。
 瀬戸内海から関門海峡を抜けて日本海を北上し、函館に立ち寄った後に太平洋を南下する行程で3年生の夏から準備しました。エンジンを載せた全長7.6メートルのクルーザーヨットをOBから借り、一人で操作できるように整備。4年生になった昨年4月から1年間休学し、「不安半分、楽しみ半分」の思いを胸に7月21日、早朝の西宮港を出港しました。

トラブルに悪戦苦闘

 航海は安全を優先。毎日、日中に10時間前後走って港に入る“デイセーリング”の方法をとりましたが、鳥取の境港に向かうときにトラブルが発生。「寄港時は帆走からエンジン走行に切り替えますが、冷却装置の故障で浸水し、4時間かけて応急処置をして何とか入港できました」。
 台風接近や強風で何度も港に足止め。伊豆半島沖では黒潮の影響で思うように進めず、自然の脅威を身を持って知りました。意外な発見もありました。日本海に入ったとき、太平洋より青い海の色にびっくり。「能登半島は地図で見るよりずっと大きく感じました」。
 50か所の漁港やマリーナに立ち寄り、出発から80日目の10月8日、西宮港にゴール。「行く先々でヨット仲間や漁師さんたちに助けてもらい達成できました」。

来年は航海士で世界の海へ

 来春には大手海運会社に就職。「大阪湾や神戸港に出入りする船を見て航海士になろうと思ったのがきっかけでした」。コンテナ船などで半年間の実習後、3等航海士として乗船。「女性航海士はまだまだ少ないですが、皆から信頼され責任を持たせてもらえる船長を目指したい」。
 ヨットも趣味で続けるそうです。航海士は、例えば6か月間乗船すると3か月間の休暇が取れるといい、「ゆくゆくは自分のヨットを持ち、世界一周にも挑戦してみたい」と夢を膨らませています。

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更新日:2021年07月01日