令和2年4月号「美しい姿に魅せられて」 田根徹さん

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蝶の標本を持った田根徹さんの写真

田根 徹さん

キシタアゲハなどが入った蝶の標本の写真

キシタアゲハ(左端)などの標本

「美しい姿に魅せられて」チョウ収集家

田根 徹(たね とおる)さん(76歳・成田町)

 「初めて見つけたときの達成感が忘れられません」。大きな網を手に国内外を飛び回って半世紀。何時間も車に揺られ、ときにはジャングルを分け入って世界のチョウを追いかけてきました。

26歳から各地で採取

 小学生の頃から虫捕りに夢中でした。「夏休みには近所の野山を駆け巡り、トンボやカブトムシを捕まえていました」。色鮮やかなチョウの美しさに魅せられて本格的に始めたのは、印刷機械の営業をしていた26歳のとき。ゴールデンウィークや夏の休暇に直径60センチメートルの捕虫網を持って各地に出掛けました。
 春から秋が収集に適した季節。国内で一番早く飛ぶ沖縄へは何度も行きました。「いろんな情報が交換できるので」と、チョウやガの研究者をはじめアマチュアの収集家たちも集う日本鱗翅(りんし)学会の会員にもなりました。

初めてのチョウと出会う達成感

 これまで国内で確認できたチョウは300種近く。その多くを捕獲すると、1万8000種~2万種とケタ外れに多い海外にも目が向くようになりました。
 33歳のときにツアーを利用し、フィリピンに行ったのが最初の海外収集でした。15年前には中央アフリカを代表するアゲハチョウを探しに仲間3人とカメルーンへ。標高4000メートルを超える山の中腹へ車で9時間かけてたどり着きました。
 訪れた国や地域では、必ず現地で地図と図鑑を買って生息地に向かいます。「ガイドが一緒なので迷うことはありませんが、転んで手首の骨を折ったこともありました。捕まえたことがないチョウを見つけたときのうれしさ、達成感は何ともいえません」。

稀少種など5000種収集

 1日に50匹前後を捕獲。「傷付けないように三角形に折ったパラフィン紙に包んで持ち帰り、展翅板(てんしばん)という道具を使って羽の姿形を整えます」。収集したチョウは約5000種。ドイツ箱と呼ばれる標本箱の数も1000個を超え、「自宅に入り切りません」。
 中にはカメルーンで見つけたザルモクシスオオアゲハやインドネシアで採集したキシタアゲハなど、現在は国際条約で国内に持ち帰れない稀少種もあり、「どこかで保存してもらえたらうれしい」と、博物館などへの寄贈も検討しているそうです。

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更新日:2021年07月01日