平成31年3月号「アニメに魅せられて70年 手元にあった幻のディズニー映画」 渡辺泰さん(大利町)

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小さなモニターや機材があり、機材の横に立っている渡辺泰さんの写真
テーブルの上に置いてある手動の家庭用映写機の写真

当時使用していた手動の家庭用映写機

 「自分のところにあったとは…。もうびっくりです」。ディズニー映画で人気者のミッキー・マウス。
 その原点となったウサギのキャラクターが主人公の短編アニメの一部が最近、国内で確認されました。アニメ史研究家の渡辺泰さん(85歳)が高校生の頃に買った作品の一つで、「失われたと思われていた短編と分かり、本当にうれしい」と喜びもひとしおです。

研究の原点は「白雪姫」

 子どもの頃、正月や夏休みになると、父親に映画館へ連れて行ってもらったそうです。アニメ研究を始めるきっかけとなったのは、高校1年生のときに団体鑑賞で見た長編アニメ「白雪姫」でした。「ファンタジックな世界にすごく感激してディズニーの大ファンになりました」
 当時、家庭用映写機で見ることができる16ミリフィルムの短編アニメが、おもちゃ問屋街で売られていました。渡辺さんもアルバイトをして約500円の作品をいろいろ購入。その中の1本が今回見付かった作品でした。
 作品の原題は「Neck n Neck」で、ミッキーの前身ともいえる主人公のオズワルド・ザ・ラッキー・ラビットがドライブ中に犬の警察官に追いかけられるという内容。約5分の原作が約2分に短縮され、日本語で「ミッキー漫画 スピーデー」というタイトルが付けられていました。
 「2年前、所在が分からなかったオズワルドの短編がアメリカの書籍で紹介され、このストーリーを読んでピンときました」。昨年になって原作と渡辺さんの手元にあった「スピーデー」が同じ作品と確認されたのです。「スピーデー」は現在、神戸映画資料館(神戸市)に所蔵されています。

映画観賞は年間250本

 渡辺さんは、大阪市内の学校を卒業すると新聞社に入社。31歳のときに家族4人で寝屋川市に引っ越してきました。小学校のときに今の東寝屋川駅の近くに学童疎開したことがあったことから、見慣れた風景でもありました。自宅近くには市内で唯一の映画館がありました。しかし、新作を上映する封切館ではなく、「大阪市内まで出掛け、年間250本は観ました」と言います。
 43歳のときに出版した「日本アニメーション映画史」(共著)は、アニメ研究のバイブル的な存在として高く評価されています。出版を企画し、渡辺さんに執筆を依頼した神戸映画資料館の安井喜雄館長は「渡辺さんは、スクリーンに映し出された製作スタッフたちの名前をカメラでこっそり撮っていました。これがのちにアニメ映画史の貴重な資料となったのです」と、当時のエピソードを教えてくれました。

お宝はサイン入りポートレート

 パンフレットやポスターなどコツコツと集めた資料は数千点とも言われますが、「あまりにも多くて数えたことがありません」。その中で「(ミッキーの生みの親の)ウォルト・ディズニーに贈った誕生日プレゼントのお礼に届いたサイン入りのポートレートが一番の宝物です」。ディズニーへの熱い思いは、いつまでも変わることはないようです。

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更新日:2021年07月01日