平成29年11月号「震災で亡くなった妹を思い、遺作の童話絵本の英訳版を出版」 中條鉃子さん(香里本通町)

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絵本のページを開いている中條鉃子さんの写真

中條鉃子さん(香里本通町)

 阪神・淡路大震災で犠牲になった妹の聖子さん(当時29歳)の童話「森のかんづめ」は、自然の大切さが心にしみる「小さな国」の王様の物語。医師の中條鉃子さん(58歳)は、震災2年後に絵本として出版していましたが、今年8月、新たに英語対訳版を出しました。
 聖子さんは、中條さんを追うように医師になって5年目。両親らと暮らしていた神戸市内の自宅で、倒れた家具の下敷きになりました。幼い頃から、本を読み作文を書くのが好きで、「人を勇気付け、楽しませる童話やファンタジーを書きたい。簡単なことではないから、しっかりした職業を持っていないといけない」と医師を志したそうです。
 初版を出してから14年後の2011年、東日本大震災が起きました。中條さんは、被災地の子どもたちを励まそうと2,300冊を増刷。東北地方の小学校などに贈りました。改めて反響が広がった中に「海外の人にも読んでもらったら」という声があったそうです。出版社に翻訳者を紹介してもらい、英訳版にこぎ着けました。
 「森のかんづめ」は、美しい森の中で人々がつつましく、仲良く暮らしている小さな国の王様が、森を切り開いて豊かになった大きな国の王様に招かれ、小さな国に自慢できるものはと悩んだあげく、森のきれいな空気はかけがえのないもの、と気付くお話です。
 中條さんにとって絵本は聖子さんが生きた証しでしたが、そこに込められた自然を愛する気持ちは世界の人にも届けたいメッセージだと感じています。「いろんなところで大気や海が汚染されて問題になっているので、共感してもらえるのではないでしょうか」と話します。

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更新日:2021年07月01日