令和8年10月号 研究員から陶芸家へ ものづくりの新たな喜びを感じ 陶芸家 大友 悟さん

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大友 悟さん

"会津富士"で知られる磐梯山を遠くに望む福島県会津美里町が活動の拠点です。2年前、大手化学メーカーの研究員から転身し、東北最古といわれる会津本郷焼の窯元で修行。今春、420年の伝統を受け継ぐ陶芸家として念願の工房を開設しました。

化学メーカーで塗料を研究
新生活で器探しが趣味に

元々陶芸とは無縁でした。奈良先端科学技術大学院大学で「未知の物質が見つかるかもしれない」とワクワクしながら半導体材料の基礎研究に没頭。大阪市内の化学メーカーでは船舶用の塗料開発に打ち込みました。
陶芸に興味を持つきっかけは妻でした。寝屋川市での新生活で一緒に料理を作り、盛り付けるための器探しが二人の趣味に。「お皿などに塗られた釉薬(ゆうやく)と塗料の成分が似ていることに気づき、自分でも器を作ってみたいと思いました」。

「好きなことをやってみたら」
妻に背中を押されて決意

仕事の傍ら大学の通信教育で1年間陶芸を勉強。同じ頃、会津本郷焼の技術を習得できる地域おこし協力隊の記事を見つけました。最盛期には100軒を超えた窯元も12軒に減り、産地の会津美里町が伝統を受け継ぐ担い手を募っていました。
「受けてから考えよう」と応募。内定をもらってからあれこれ悩む姿に「好きなことをやったら」と最後に背中を押してくれたのは妻でした。

窯元で伝統の技を習得
陶芸体験の指導も任される

5年間勤めた研究職を辞め、釉薬を使った技を得意とする窯元「流紋焼」で週4日間修行。分業制が多い窯業界の中で、土づくりに始まり、ロクロを回して成形し焼き上げる一連の工程を学びました。
ある日、「これと同じものを100個作りなさい」と師匠から茶碗を渡されました。合格点をもらえたのは1、2個だけ。「最初はついて行くだけで精一杯でしたが、できることが少しずつ増え、今は商品作りや陶芸体験の指導も任されています」。

陶器市で陶芸家デビュー
「長く喜んでもらえる作品を」

移り住んで3年目を迎えた今年6月、会津本郷焼の「せと市」にパスタ皿などを出展。陶芸家としての一歩を踏み出しました。会場では自作の青磁を見ていた中学生に色が出る仕組みを聞かれて、研究員の頃を思い出し、釉薬や発色について夢中で説明。ものづくりの新たな喜びを実感しました。
「1mを超す大雪で雪かきも経験するなど生活は大きく変わりましたが、会津の四季の移り変わりを感じながら暮らしています」。来春には協力隊を卒業し、本格的に始まる活動に向けて「研究者として培った視点と窯元で学んだ技を大切にし、長く喜んでもらえる作品を作り続けたい」と夢を膨らませています。

ロクロを回して器を作る大友さん

ロクロを回して器を作る大友さん

せと市に出展した青磁の作品

せと市に出展した青磁の作品

私とふるさと

結婚を機に選んだところが2人の通勤に便利な寝屋川市でした。福島県に移住するまでの2年間だけでしたが、何気なく歩いた道や図書館がある駅前の風景はとても記憶に残っています。
印象深かったのは寝屋川まつりです。よく散歩に出かけた打上川治水緑地が多くの市民でにぎわう光景に「すごく活気がある街なんだ」とびっくり。地域のエネルギーを感じました。

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更新日:2026年09月25日