令和7年10月号 美しい音色届けて22年 “バリアフリー楽器”を普及 日本ヘルマンハープ振興会会長 梶原千沙都さん

日本ヘルマンハープ振興会会長 梶原 千沙都さん
ダウン症の子どものために考案されたドイツ生まれの弦楽器ヘルマンハープ。楽譜が読めなくても弾くことができ、日本に初めて紹介されると、その美しい音色がシニア世代の女性を中心に評判となりました。
姿かたちも違う未知の弦楽器 ドイツの見本市で出会う
22年前、夫の彰さんの転勤でウィーンに滞在中、旅行先のドイツの介護用品見本市でヘルマンハープと出会いました。グランドピアノの蓋のような形の響板と呼ばれる本体に弦が張ってあり、「音色も姿かたちも、私が知るものとは全く違う楽器でした」。
それもそのはずです。ドイツの農場主ヘルマン・フェーさんがダウン症の息子のために発明したのは1987年。開発から日が浅く、まだ広く普及していなかったのです。
透明感のある音色に衝撃 「日本でも広めたい」
標準モデルのヘルマンハープには25本の弦が張られています。音符に見立てた白と黒の丸印を線でつないだ専用の楽譜を弦の下にセットし、印の上の弦を順番にはじいてメロディーを奏でます。
「初めて弾いたときの透明感のある音色に衝撃を受けました」と話し、半年後、小さな村で暮らすフェーさんを訪ねました。ちょうど教会で演奏会が開かれており、障害のある人もない人も老若男女が楽しそうに弾く姿に「垣根を取り払うバリアフリーの楽器を日本でも広めたい」と説得。音楽療法に使っている障害者施設で半年間の研修後、楽器を携えて平成16年に帰国し、普及に乗り出しました。
梶原さん(右)とヘルマンハープを開発したフェーさん親子(ドイツの演奏会で)
奏法をまとめ教則本に 10年かけて開発し出版
8畳一間の事務所を拠点に障害者施設や病院で演奏。平成17年に振興会の前身となる日本ヘルマンハープ協会を設立しました。教室も開き、それまで確立されていなかった奏法や指導法を独学で教則本にまとめて出版。指導者の養成にも努めました。
「余韻が長く、ゆったりとした音色が特長。体の構え方や手の動かし方をマニュアル化し、誰が弾いても美しい音が出せる奏法を開発するのに、10年くらいかかりました」。
全国で愛好家6000人 「人生をすてきに彩って!」
ヘルマンハープは女性や中高年の間で早くから人気となり、豊かに表現できる芸術楽器としても開花。「現代に生まれた中で最も普及した楽器の一つ」と言われ、全国で約6000人の愛好家に親しまれています。
ライフワークとして障害者と健常者が一緒に演奏する“バリアフリーステージ”の活動にも取り組み、4月に大阪・関西万博でも開催。「音楽を奏でる喜びは大きく、人生をすてきに彩ってほしい」と、退職して活動を支えてきた彰さんと二人三脚で普及に努めています。
私とふるさと
4歳から高校1年生まで寝屋川市に住んでいました。子どもの頃から行動的な性格で、市立西小学校では友人に勧められて児童会の役員に立候補。書記と会長を務めました。
市立第二中学校で体操部に入り、主将だった3年生のときに府大会の団体で優勝しました。ところが、近畿大会は府大会になかった段違い平行棒が加わり4種目に。この器具が学校になかったため、他校から借りて練習。3位に入り、顧問の先生も驚いていました。
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更新日:2025年09月25日