令和5年8月号 憧れの北海道で被災 防災ツアーで備え訴え 北海道厚真町観光協会事務局長 原裕二さん(53歳)

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北海道厚真町観光協会事務局長 原裕二さん

北海道厚真町観光協会事務局長 原裕二さん

家族4人で移り住んだ厚真町(あつまちょう)で震度7の地震に見舞われました。北海道胆振(いぶり)東部地震から9月で丸5年。「被害を風化させてはならない」と、町観光協会で被災地を巡る防災ツアーなどに取り組んできました。

寸前でカナダ移住断念 自然がいっぱいの厚真町へ

厚真町に引っ越したのは地震の3年前でした。大自然に憧れ、友人がいるカナダへ移住する計画でしたが、移民申請の変更で就労が厳しくなり、渡航寸前で断念。新たな移住地に北海道を選び、仕事を始めた苫小牧市の隣町が厚真町でした。

「ドライブで訪れ、豊かな自然とのどかな雰囲気に魅せられました」。元々、神戸などのホテルで営業を担当。この経験を生かし、同町が募集していた地域おこし協力隊の観光支援員として活動を始めました。

体験型観光を提案 地震でイベント中止に

  厚真町は一般的な観光地が少なく、田んぼのオーナー制度や日本一の作付けを誇るブルーベリーによく似た果実・ハスカップ狩りの体験型観光などを提案し、一般社団法人化した町観光協会の事務局長に就任。秋の収穫時期を迎えていろいろなイベントを予定していた矢先の平成30年9月6日未明に地震が起きました。

裏山など約7000か所で土砂崩れが発生し、町は一変。町内で37人が亡くなり、このうち36人が土砂崩れの犠牲になりました。

被災地案内の要望相次ぐ 葛藤乗り越えツアー企画

2か月ほどすると、他の自治体などから「被災地を案内してほしい」との要望が相次ぎました。町は復旧工事で手一杯。「少しでもお手伝いができれば」と発案し、観光協会で取り組んだのが防災ツアーでした。

「多くの人が亡くなった場所を案内していいのか」との葛藤もありましたが、同じようなツアーを行っていた東日本大震災の被災地を訪問。児童や教職員が犠牲になった宮城県石巻市では「一人でも多くの命が助かるよう訴えたい」と語るガイドの言葉に「災害にしっかり向き合うことの重要さに気づかされました」。

ダム湖の斜面が崩れ、大量の土砂が流入した厚幌(あっぽろ)ダムを案内する原さん

ダム湖の斜面が崩れ、大量の土砂が流入した厚幌(あっぽろ)ダムを案内する原さん

日常戻りつつある被災地 「町の魅力も発信したい」

地震の翌年から始まったツアーでは、現在も町民8人が語り部として当時の様子や復興の状況などを説明。中学生や高校生がゲーム形式で避難所の運営を模擬体験する震災学習プログラムも考案し、ツアーと合わせて約7500人が参加しました。

震災からまもなく5年。日常は戻りつつありますが、山間地に入ると今も地震の爪痕が残り、「もしもに備えて行動できれば助かる命があることに気づいてもらいたい」とプログラムの改良を重ねています。

そのうえで「地震で知名度は上がりましたが、豊かな自然やおいしい食材、ゆったりと流れる時間など町の魅力も発信していきたい」と力を込めて話しました。

私とふるさと

市立第五小学校を卒業し、第六中学校ではラグビー部に。正直「痛い!」という思いが強かったのですが、神戸製鋼(現コベルコ神戸スティーラーズ)で活躍し、ラグビーの日本代表監督をされた平尾誠二さんと社会人になってから会う機会があり、『同じラガーマンやね』と声をかけられて感激しました。

実家がある辺りはいつもは静かですが、年末年始には成田山周辺に多くの出店が並び、大勢の初詣客で一変する景色がすごく印象的でした。

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更新日:2023年07月26日