令和5年7月号 「趣味とつながった!」先端技術で野鳥を守る熊本大学名誉教授三田長久さん

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三田長久さん

鳥のさえずりを録音する三田さん

背中に小型発信機が装着されたオオワシ

背中に小型発信機が装着されたオオワシ

オオワシの調査に参加する三田さん

オオワシの調査に参加する三田さん

「世界の屋根」と呼ばれるヒマラヤ山脈を飛び越えるアネハヅル。その驚異的な渡りのルート解明のカギとなった小型送信機を開発し、野鳥観察の趣味が高じて仕事と結びついた日々の研究を「本当に楽しくて仕方ありませんでした」と振り返ります。

人工衛星で渡り鳥を追跡 送信機の超小型化に成功

しばらくして日本野鳥の会からNTTに小型送信機の開発依頼がありました。渡り鳥を気象衛星で追跡し、移動ルートを解明しようというのです。ちょうど衛星通信の研究をし、野鳥の会の会員だったこともあって開発を任されたとき、「面白いことになったとワクワクしました」。

送信機は特殊なセンサーを搭載し、布製のバンドで背中に装着します。鳥の負担をなくすためにアンテナの形状を工夫したり知人の研究者に専用の電子部品を設計してもらったりして小型化に成功。「最初は300gもあった機器を25gまで軽量化できました」。さらにバンドの端を手術用の糸で留め、半年ほどで切れて背中の送信機が外れるようにしました。

オオワシなどのルート解明 野鳥の保護に生かす

  平成7年2月、絶滅が心配されるオオワシの捕獲に同行。生息地の北海道・根室市で氷点下20度にもなる夜明け前から準備し、送信機の取り付けにも立ち会いました。

9月にはモンゴルでアネハヅルを放鳥。3500キロメートルに及ぶ飛行ルートの最後に立ちはだかるヒマラヤ山脈を越え、「小さな体で空気が薄い8000mの上空を飛んでインドまで南下したのには驚きました」。気候が安定する秋に付近を飛ぶ姿が登山者に目撃されていましたが、ヒマラヤ越えを初めて線でとらえ、「謎の多い移動ルートや繁殖地が分かり、野鳥の保護に役立っています」。

NTT研究所から大学へ マルチメディアで野鳥調査

  翌年春、教授として迎えられた熊本大学では、マルチメディアを野鳥調査に生かす研究に取り組みました。例えば、音声認識技術を使い、鳴き声で種類を識別するアプリを開発。「人は趣味に没頭しているときに最大の能力を発揮する」をモットーに、野鳥に関わる研究を続けてきました。

熊本市の自宅周辺でも野鳥を観察し、野鳥調査のNPO法人に種類などを定期的に報告。大学を定年退職した今も続け、「全国に協力者がいるので、身近な野鳥の増減がよく分かる貴重な記録になってきています」。野鳥観察専門の海外ツアーにも参加。「新型コロナの影響でしばらく行けませんでしたが、そろそろ再開しようかなと思っています」。

私とふるさと

当時通っていた市立第五小学校は教室が足りず、すし詰め状態でした。第一中学校に入学し、2年生から新設の第三中学校へ。グラウンドの一部がまだ田んぼだったため、体育の時間に土を運んだ覚えがあります。

大学院を修了した昭和47年まで成田町に住んでいましたが、実家の兄も市外に転居。30年近く寝屋川市に行っていません。最近は地図アプリなどで様変わりした香里園駅前などを見ています。

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更新日:2023年06月26日