5月号 シカ革の魅力を世界に発信 「天然素材の温もり感じて」コンセプトデザインコーディネーター中井謙次朗さん(36歳)

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山に囲まれた有田川町の自宅前で

山に囲まれた有田川町の自宅前で

パリの見本市で担当者と話す中井さん(右)

パリの見本市で担当者と話す中井さん(右)

シカ革の上に置かれた革製品

シカ革の上に置かれた革製品

有害捕獲され、利用されないまま廃棄されていたシカの皮を財布などの革製品に生まれ変わらせました。天然資源を有効活用し命を大切にする活動はSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みと革文化の復活にもつながる和歌山発の新素材として海外でも注目されています。

JR紀勢本線の海南駅から車で1時間余り。平成29年に実家のある寝屋川市から和歌山県有田川町の山間にある古民家に移り住みました。「シカやイノシシがよく目撃されるんですよ」と話し、地元では植林した木が食べられたり、畑や田んぼが荒らされたりする被害に悩まされてきました。

捨てられていたシカの皮 革製品に有効活用

有害捕獲されたシカの肉「ジビエ」にかかわる話を聞いたのは移住する前のことです。農産物の販路開拓やPRを手掛けて和歌山に通っていたとき、地元の猟師から「捕獲したシカなどの肉は古くからの販売ルートがあるが、残った皮は山に埋めるなどして処分していた」と聞かされたのです。

和歌山県ではシカによる農作物の被害が増え、令和2年度に有害捕獲されたシカは約1万1500頭にのぼりました。自身もヤギ革の財布を愛用しており、「皮を買い取って革製品にしよう」と思い立ちました。

しっとりした質感 傷も天然素材の証

しかし、前途多難な道のりでした。泥などで汚れたシカの皮を”なめし”という技で素材の革にする専門業者が少なく、全国を奔走。業者に渡すまでの保存法も独自で学びました。

シカの革は伸縮性があり、柔らかくてしっとりした質感が特長です。5年前に財布や名刺入れなどに商品化。天然素材の特徴でもあるシワや生前に出来た小さな傷のためになかなか扱ってくれませでしたが、「その傷は森の中で一生懸命に生きてきた証なんです」と訴えてきました。

歴史に育まれた新素材 SDGsにも貢献

2年前、東京の百貨店で販売がかない、昨年はパリで開催された見本市に参加。シカ革に伝統漆器の漆を施す技術と紀州材を使ったバッグは評判となり、シカ革もSDGsの取り組みに貢献する新しい素材として高い評価を受けました。

和歌山は熊野古道などの歴史と深く結びついた土地柄。「シカ革は正倉院の宝物や武具に使われており、古くから歴史に刻まれた革文化とともに世界に発信しようと思いました」と、その狙いを語ります。小学校では「ジビエ出前授業」で子どもたちに命の大切さを教えており、「ごみとして扱われていたシカの皮が世界の舞台に羽ばたこうとしています。活用の方法によっていろいろな可能性があることを皆に知ってもらいたい」と話しています。

私とふるさと

実家の最寄り駅は萱島駅。市立堀溝小学校に入る頃に深北緑地公園が開園し、友達とよく遊びに行っていました。阪神淡路大震災があったのも小学生のとき。地震の怖さを思い知らされました。

市立第七中学校ですごく印象に残っているのが校庭のクスノキです。指導で和歌山の学校を訪れる機会も多いのですが、あんなに大きなクスノキを見たことがありません。生徒会ではスライドアニメを企画しました。

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更新日:2023年04月26日