令和4年12月号 「ワクワクする楽しさを」 ビール会社で商品開発 佐藤勇介さん(36歳)
「ビールは瓶が主流の時代から注ぎ合い、乾杯し、たたえ合う。喜びや楽しさを分かち合うお酒なのです」。その市場が17年連続で縮小。ビール復権を目指して開発した新商品は従来の常識を打ち破るアイデアから生まれました。
「相撲で培った人脈生かしたい」大手のビール会社に就職
立命館大学の3年生のとき、20歳になって祖父とお酒を飲むようになりました。ビールで始まり、焼酎の湯割りになる頃には口数が少ない祖父との会話も弾み、「お酒って人との距離を縮め、いい時間を過ごすことができるのや」と思ったそうです。
その祖父の勧めで市立西小学校の1年生のときに相撲を始めました。元大関豪栄道の武隈親方とは同じ年で当時のライバル。全国少年相撲大会では2年連続で3位に入賞し、大学でも相撲部の主将を務めましたが、「相撲を通して人格が形成され、培った人脈を別の道で生かしたい」と就職したのが酒類飲料メーカーのサントリーでした。
「固定概念をぶっ壊そう」ビール復権めざし提案
ビールの商品開発を担当したのは8年後の平成29年。ビール市場は平成16年をピークに前年割れの状況が続いており、復権を目指して各メーカーが新商品の開発にしのぎを削っていました。
その中で昨年4月、「ワクワクする楽しさとおいしさを提案しよう」と新設された部署でプロジェクトチームが発足。「固定概念をぶっ壊そう」と提案したのがビールを炭酸水で割るという奇想天外なアイデアでした。
「ビールを飲む機会が減ってしまった若い世代は『モノを買う世代ではなくコトを楽しむ世代』。求められるのはもっと自由で楽しいビールではないかと考えました」。
自宅の冷蔵庫で実験 高アルコールビール実現
部内の反応は様々でした。「一度濃いビールを作ってみよう」と、自宅で実験。冷蔵庫でビールを冷凍し、最初に凍る水分を取り除いて濃縮していく作業を繰り返しました。ビールのアルコール度数は5%前後。1日半かけて徐々に高めると、15%の『濃いビール』が出来ました。
炭酸水も用意し部内で試飲。すると「どんな割合で割るのがおいしいのか」と飲み方で盛り上がり、楽しそうに飲む様子に好感触を持ちました。ポイントの一つだったアルコール度数もサントリー独自の醸造技術で16%を実現。「ビアボール」のネーミングで販売にこぎつけました。
「子ども思う親の気持ち」新しいスタイルに手ごたえ
発売当日は東京都内の居酒屋にいました。「どのように成長するのだろうかと子どもを見守る親の気持ち。今からドキドキしています」。発売前にこう話していた佐藤さんは「ビールを飲めなかったというお客さまからも『おいしい』との声を聞き、ホッとしています」。
楽しそうにグラスを傾ける祖父の姿を見て「お酒に携わる仕事ができれば」と思い立ってから14年余り。お酒と向き合う新たなスタイルに手応えを感じています。
私とふるさと
寝屋川市と言えば、やはり相撲を通して家族と一喜一憂した思い出の街。小さい頃から体が大きく、寝屋川相撲連盟に所属。南寝屋川公園で練習をしていました。
同学年の武隈親方と小学校は違いましたが、わんぱく相撲によく出ていました。そろって全国大会にも出場しました。
中学校は相撲部がある兵庫の報徳学園に入学。2年生のときに伊丹市に引っ越しましたが、祖父の家が寝屋川市内にあり、今も訪れています。
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更新日:2022年11月25日