令和4年10月号 細部まで忠実に再現設計した模型部品5000点 プラモデルメーカー技術主任 谷本浩一さん(55歳)

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谷本浩一さん
谷本さんが設 計した模型の パーツ

谷本さんが設計した模型のパーツ

最新作の戦闘機

アニメ映画に登場する飛行艇もプラモデル化。社員8人の小さなメーカーの技術主任として、部品点数で5000を超える模型のパーツを設計してきました。

自宅は萱島駅近くの商店街にあり、2軒隣が模型店でした。物心ついた頃からプラモデルに魅せられ、大阪府立大学工業高等専門学校(現大阪公立大学工業高等専門学校)の部活動でも模型作りを楽しんでいました。

社長の誘いに「渡りに船」大学中退し模型会社へ

 現在の会社「ファインモールド」社長の鈴木邦宏さんと出会ったのは高専の3年生のとき。当時、鈴木さんが代表を務める模型クラブの展示会に行ったのがきっかけでした。
 同社が愛知県豊橋市内で設立された翌年の昭和63年に5年制の高専を卒業。同じ市内にある豊橋技術科学大学の3年生に編入すると、バイクで15分の鈴木さんの会社へ遊びに行くようになり、4年生のときに「うちに来ないか」と誘われました。
 「模型にかかわる仕事がしたかったので”渡りに船”でした」といい、10月に大学を中退。創業間もない会社に就職しました。

「マニアうならせる模型を」自衛隊基地で実物も確認

 主力商品の戦闘機や戦車を手がけて33年。「会社の成長とともに私もステップアップしてきました」と話し、「実物はこうなっているのか!」とマニアもうならせる模型を追い求めてきました。
 プラモデルはプラスチックの枠で繋がった100点前後の部品からなり、パソコンで1つずつ立体的に設計。できる限り実物も確認し、縮尺が48分の1や72分の1の小さな模型に再現します。F4戦闘機の商品化では「航空自衛隊の三沢基地や米軍の横田基地まで機体の複雑なラインを確かめに行きました」。

『紅の豚』の飛行艇も見えないエンジンにこだわり

 スタジオジブリのアニメ映画『紅の豚』の主人公が乗る飛行艇もプラモデル化しました。パーツの設計で参考になる実物はもちろんありません。そこで翼の上に搭載され、カバーで囲われたエンジンに着目。アニメでは1920年代に実在したイタリア製という設定でした。
 「設計図は見つかりませんでしたが、三菱重工業が同じ型をライセンス生産しており、その完成図からエンジンの寸法が分かりました」。外から見えず、本来なら再現しなくてもいいエンジンにもこだわり、カバーや胴体の大きさも割り出しました。

プラモデル化まで1年手がけた製品400種類

 プラスチックを流し込んで部品に加工する金型作りも担ってきました。英語で「精密な金型」という意味の言葉を社名に掲げており、ほとんどのメーカーが外注する金型も自社製作。「工場を持つ会社でうちは最小規模です」。
 資料収集から設計、加工と完成まで最低1年はかかり、手がけた製品は約400種類。「精密さを求める一方で細かい部分を省略した方がいいときもあり、自分の裁量を最大限に生かせる、やりがいのある仕事です」と笑顔で話します。

私とふるさと

寝屋川市で生まれ、20歳まで下神田に住んでいました。電気店だった実家はもうありませんが、市立第五中学校で同級生だった妻の実家が市内にあり、コロナ禍の前は年に2、3回は帰っていました。
市立神田小学校に通っていた頃は商店街の裏の駐車場でよく野球をして遊んでいました。5、6年生のときには貯めたお年玉でラジコンカーを買い、友達と自転車で太間町の淀川河川公園に行って走らせていました。

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更新日:2022年09月26日