令和3年8月号 石ころは地球の歴史の生き証人 元小学校教師 西村寿雄さん(85歳)
『石はなにからできている?』(岩崎書店)
世界でも珍しいカルスト地形の中国・石林で
「石ころで地球の営みを感じてもらいたい」。20代で地球科学(地学)の魅力に目覚めた西村寿雄さんは、85歳になった今もハンマー片手に岩石採集に出掛け、3年前には絵本のような入門書を出版して子どもたちに
‘‘石ころ学’’の楽しさを伝えています。
市内の成田西公園の一角に、約300万年前の地層が観察できる場所があります。斜面の下に転がっている無数の小石は、微生物の死骸が海底に堆積してできたチャートという化石の塊。「太古の昔、この場所は海の底でした。こんな身近なところで地球の壮大な活動を知ることができるのです」。
地学の面白さに目覚めフィールドワークに奔走
西村さんは大阪学芸大学(現大阪教育大学)を卒業し、教師として市立西小学校に赴任。「小さい頃から友だちと出掛けた山歩きは好きでしたが、岩石や鉱物に興味はありませんでした」。
ところが29歳のとき、地質学者・加藤磐雄さんの講演を聴き、地球や宇宙について学ぶ地学の面白さを知りました。
全国の研究組織に加わり、地層の観察や鉱物採集などのフィールドワークで訪れた場所は、海外も含めて100か所以上。2週間滞在した中国では、長い年月をかけて浸食された石灰岩のカルスト地形に目を奪われました。
「絵本のような本を」 写真満載で石ころ紹介
子どもたちに地学の楽しさを伝えるための労も惜しみませんでした。「山でどうして貝殻が見つかるの?」といった疑問にこたえる数々の読み物を出版。3年前に出した『石はなにからできている?』(岩崎書店)は、その集大成です。
「地球や宇宙に関心を持ってもらえる絵本のような図書を作りたい」と、自ら出版社に働きかけました。文章を少なくし、石ころの大きな写真を満載。巻頭では地球の石と月の石を並べて紹介しています。
51年前、市立成美小学校の子どもたちを引率して訪れた大阪万博で展示されていた月の石が印象的でした。
「灰色の月の石は火星や金星でも見られる玄武岩でできた宇宙の石。一方、川や海岸には花こう岩などいろいろな色と模様の石があります。これらは、水がある私たちの地球で生まれた地球石なのです」。
「地学に興味持ってほしい」 ‘‘石ころ学’’で魅力伝える
地球が誕生して46億年。「とてつもなく大きなスケール観が地学の魅力」と話し、その歩みを歌で覚えてもらおうと、「鉄道唱歌」の替え歌「地球の歴史唱歌」まで作りました。
石ころを入り口にすれば、地球の歴史も見えてくるという‘‘石ころ学’’。「道端に落ちている石ころも長い地球の歴史の生き証人です。石ころをきっかけに地学に興味を持ってもらえればうれしい」。
私とふるさと
自宅は四條畷市ですが、市立西小学校で教べんを執って以来、市立三井小学校の校長を最後に退職するまでの36年間、教員生活を送ってきた寝屋川市は第2のふるさとです。
『わたしたちのまち寝屋川の自然』(平成3年発行)の調査では地質部門を5人~6人で担当しました。編集部長として3年間、毎週末のように調査に出掛けたことが思い出されます。
その間、都市化が進む寝屋川市の移り変わりを目の当たりにしてきました。それでも市東部の丘陵地はまだまだ自然が残っており、今後も活動を通して見守って行こうと思います。
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更新日:2021年07月27日