令和2年11月号 「星の誕生 エキサイティング!」大分大学理工学部教授 仲野 誠さん(64歳)

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パソコンと資料のあるデスクに座っている仲野誠さんの写真
望遠鏡があるマウナケア山頂の観測施設前で記念撮影している仲野誠さんの写真

ハワイ大学2.2メートル望遠鏡があるマウナケア山頂の観測施設で(2005年9月)

 いつ、どんなところで生まれるの?
 小学生の頃、天体望遠鏡でのぞいた月の美しさに感動した仲野誠さんは、天文学者として夜空に輝く星の誕生のなぞを研究してきました。

「すごくきれいでショッキング!」望遠鏡で見た月に感激

 小学校6年生のときでした。「同級生の天体望遠鏡で初めて見た月がすごくきれいでショッキングでした」。中学生のときには、その月にアメリカのアポロ宇宙船が着陸。持ち帰られた月の石を大阪万博で間近に見て、宇宙や天体にどんどんひかれていきました。
 当時、天文学を学べる大学は少なく、その一つが観測施設のある京都大学でした。大学院と合わせて10年間在籍。「宇宙物理学教室で学びましたが、就職先は少なく、天文学でなかなか飯は食えません」。
 予備校で教えながら研究生として大学に残る生活が2年間続きましたが、同じ教室出身の教授が縁で大分大学での研究生活が始まりました。

誕生間もない星の集団ハワイ大学の望遠鏡で発見

研究のテーマは、星の誕生の過程を、観測データを分析して探ることです。星々の間にはガスやチリが集まる?雲?と呼ばれているところがあり、ここで新たな星が生まれます。
 ハワイ島のマウナケア山頂にあるハワイ大学の望遠鏡で観測したときのことです。「雲の周辺を調べていると、誕生間もない星が100個以上も集まった集団を見つけました」。想定外の発見でした。
 「宇宙の空間では星の誕生と死が繰り返されており、誰も見たことがない生まれたばかりの星の探索はとてもエキサイティングなのです」。
 標高が約4200メートルのマウナケア山頂はほとんど晴れていて大気のゆらぎも小さく、天体観測には最適だそうです。「山頂まで車で上がれますが、高山病で頭が痛くなり、酸素吸入器を使いながら観測したこともあります」。

海外で盛んなET探し大学でも講義

 地球外の生命を探す研究は海外で進んでいます。もし文明まであれば、人工的な信号を電波望遠鏡で捕らえたい、というのが地球外知的文明探査(セチ)です。
 「いわゆる‘‘ET探し’’ですね。天文学の入り口として学生たちも興味を持ってくれるだろう」と、20年以上も前から講義で取り入れているテーマです。もともと生物も好きで、電波望遠鏡も研究でよく使っていたので身近なテーマだったといいます。
 子どもたちへの天文教育の普及にも力を入れています。「天体を自分の目で見てもらうことが興味につながり、喜んでいる姿を見ているとうれしくなります」。50年ほど前の子どもの頃を思い出しているようでした。

私とふるさと

 市立西小学校と第二中学校の卒業です。小学校の頃は天体というより理科とか、昆虫が好きでした。当時、祖父が小さな町工場を経営しており、そこで働いていたお兄さんたちに近隣の山や川に連れて行ってもらい、虫や魚を捕っていました。
 科学雑誌も読んでいました。実験器具や標本などいろいろな付録を集めるのが楽しみでした。そんなに実験はしていなかったと思いますが…。
 今は実家も少なくなり、寝屋川市を訪れる機会はなくなりましたが、子どもの頃に見上げたきれいな寝屋川の夜空は忘れられません。

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更新日:2021年07月01日