令和2年9月号 レトロ銭湯の魅力を発信 松本 康治さん(57歳)
大阪市内の銭湯で取材する松本さん
憩いの場であり、一日の疲れを癒す銭湯。街角から姿を消しつつある昔ながらのお風呂屋さんを次の世代に伝えようと、全国を訪ね歩き、インターネットや本でその魅力を発信しています。
1年の半分は全国を“湯”巡り 「存在知ってもらう活動」
今年4月に出したばかりの銭湯の本に続き、現在8冊目を執筆中。「旅先銭湯」シリーズの別冊「大阪の風呂屋を歩く(仮題)」の出版に向け、6月の週末もカメラ片手に大阪市内の銭湯にいました。
「銭湯は毎日行きますが、1年の半分くらいは全国の?湯?を訪ねています。よく『何軒回りましたか』と聞かれますが、とくに数えてないですね。関心事は減り続ける銭湯をいかに守り伝えるかです」。それは銭湯の宣伝活動であり、サポーターの発掘やネットワーク作りだといいます。
旅先で出会ったレトロ銭湯 「まるで日本昔話の世界!」
初めての銭湯は市立田井小学校4年生の頃。「古くなった自宅の風呂を父親が2年かけて修理している間、近くのお風呂屋さんに通いました」。親元を離れた学生時代も利用し、生活の一部になっていた銭湯の見方が一変したのは17年前でした。
息子さんと2人で訪れた鹿児島の指宿温泉でのこと。「明治から続く温泉銭湯に入りましたが、黒光りする太い柱や梁(はり)の建物はまるで日本昔話に出てくる世界でした」。神々しいオーラを感じるような衝撃を受け、レトロな銭湯にとりつかれました。
関西にも戦前からの銭湯が数多く残っていました。ところが「次に行くと駐車場になっていたり、解体中だったり。廃業は経営者の高齢化や後継者不足が原因ですが、文化遺産的な銭湯も少なくありません。そんな魅力を何かの形で伝えなければという思いに駆られました」。
すぐに「関西の激渋銭湯」というホームページを開設。ツアーやシンポジウムも企画し、銭湯の本も出すようになりました。
ピーク時の8分の1 「魅力伝える旅続けたい」
「銭湯のある街で暮らしたい、銭湯のある日本を旅したい」のスローガンを掲げるホームページでは、関西だけではなく全国の銭湯もユーモラスな筆致の文章や写真で紹介。地域の息づかいも感じられるサイトは情報が満載です。
「伝統的なタイル絵やモザイクアート、石造りの床や湯船など江戸時代から昭和に至る歴史を色濃く残し、どこも強烈な個性を発揮しています」。
旅先でのもう一つの楽しみは、街角で見つけた居酒屋でビールをぐいと飲み干す湯上りの一杯。「これが生きる喜びです」と笑います。
公衆浴場を中心に600か所を超す電気風呂に入り、次回の銭湯本にゲストで登場する辻野憲一さんは、そんな松本さんについて「レトロ銭湯の話になると、マシンガンのようにエピソードが飛び出し、人をひきつける魅力にあふれています」。
全国浴場組合によると、加盟数は約2070軒とピークだった昭和43年の8分の1に減っており、「廃業が続く銭湯の紹介は時間との戦い。伝えたいことはまだまだ多く、旅はまだ続きそうです」。
私とふるさと
小さい頃、自宅が石津南町の田んぼの真ん中にぽつんと立ち、淀川の堤防まで見通せました。
「ひょうたん池」と呼んでいた自宅近くのため池は、子どもたちの楽園でした。用水路には春になるとコブナが泳ぎ、網ですくうといっぱい捕れました。今、そんな体験はできませんよね。
ちょうど高度経済成長期と重なり、寝屋川市の人口も急増した頃です。田畑やため池は宅地などに変わって遊び場が減り、子どもながらに寂しい思いをしたことを覚えています。
寝屋川市には19歳まで住んでいました。今は明石海峡大橋を間近に望む神戸市で暮らし、寝屋川市を訪れることも少なくなりました。
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更新日:2021年07月01日