令和2年8月号 「皆と弾く楽しさ」 オーケストラでの活動目指す 宮下絢子さん(24歳)

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薄紫色の衣装を着てバイオリンを持っている宮下絢子さんの写真
バイオリンを持って笑顔で写っている国際教育音楽祭に参加された5名の写真

若手演奏家を育てる国際教育音楽祭に参加した宮下さん(右から3人目)

 新進演奏家を育てる文化庁のプログラムで、東京芸術大学大学院生のバイオリニスト、宮下絢子さんがプロの交響楽団と共演。「オーケストラで活躍したい」という小さい頃からの夢を追いかけています。

初めてプロの交響楽団と共演「とても弾きやすかった」

 新人の演奏家がプロのオーケストラと共演する機会はほとんどなく、このプログラムは優れた才能を広く紹介しようという企画です。「同じ曲でもピアノ伴奏で弾くのとは全然違うと指導の先生に勧められて応募しました」。
 難易度が高いシベリウスの協奏曲で挑み、オーディションを突破。2月に大阪市内で日本センチュリー交響楽団と同じステージに立ち、「緊張しましたが、オーケストラの皆さんが温かく、アドバイスもしてくれてとても弾きやすかったです」。

「一人暮らししたかった」親元離れて大学生活

 小さい頃、アニメの人気キャラクターが弾いていたバイオリンのおもちゃがお気に入りの少女でした。実際に習い始めたのは4歳のとき。「それまで習っていたピアノが好きになれず、母にバイオリンがしたいと頼んで教室に通うようになりました」。
 小学校3年生のときに自宅近くの教室に変わり、改めて基本を一から学びました。例えば右手に持つ弓。「これがふらつくといい音が出ないと言われ、習い始めの初心者が行う練習を3か月間ひたすら続けました」。
 進学した京都の音楽高校で東京芸術大学を目指しました。「一番の理由は一人暮らしをしたかったこと。学費などを考えると私立大学の選択はなく、残されたのは芸大だけでした」。
 「大きなミスをしなければ通るのでは」と入学試験に臨み、見事合格。プロの演奏家を目指して念願の一人暮らしが始まりました。

オーケストラ 思い共有できる海外留学で喜び体感

 バイオリン奏者といってもいろいろです。ソリストもいれば、オーケストラで活動する人もいますが、宮下さんは「皆が同じ曲で、同じフレーズで、同じ気持ちを共有できることが楽しい」とオーケストラでの活動を目指しています。
 2年前、スイスの音楽学校に短期留学したときのことです。個人レッスンが中心でしたが、希望してバイオリンにビオラ、チェロ、ピアノの室内楽を編成。「英語ができる方ではなかったのですが、弾き始めると音楽を通して会話をしている感覚になり、本当に楽しかった」といい、ソロとは違って多くの人と音楽を作り上げる喜びを体感しました。

コロナ禍が就活に影響それでも夢追いかけ

 芸大生活は今年6年目。日本センチュリー交響楽団との共演を成功させ、来年3月の修了を控えて就職活動を始めようとした矢先の新型ウイルスによるコロナ禍でした。
 5月にオンラインで授業を再開しましたが、大学院には9月末まで登校禁止。7月頃から始まる予定だったオーケストラのオーディションも相次いで中止になっています。
 それでも「今はじっくり楽譜と向き合い、芸術性や音楽性を高めるチャンスと思って練習に励みます」と話し、夢を追いかけています。

私とふるさと

 自宅は美井町。そのすぐ近くの聖母女学院(現香里ヌヴェール学院)の小学校と中学校に坂道を上って通い、通学時間はわずか3分ほどでした。
 小さい頃はどちらかというと活発な子で、ブランコなどがある小学校の「木立の広場」でよく遊んでいました。4年生になると木登りができるので、昼休みになるといつも登っていました。
 自宅近くには「さくら公園」があり、母親と遊びに。近くにバイオリンの教室があり、弾いている音色がよく聴こえていました。

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更新日:2021年07月01日