令和2年6月号伝統的な仕事誇りに活躍 鷹匠(たかじょう)田中和博さん(48歳)

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ベージュ色の作業着を着た田中和博さんのグローブをつけた手に鷹が止まっている写真
田中和博さんの手から空に大きく飛び立とうとしている鷹の写真

 お殿様の狩りにお供した鷹匠。時代は変わり、米国産のタカの一種「ハリスホーク」を自在に操る田中和博さんは、カラスやハトの害鳥を追い払う‘‘現代の鷹匠’’として飛び回っています。

「そんな仕事があるなんて」サラリーマンから転身

 ある日の午後、田中さんは生活ごみなどを処理する寝屋川市のクリーンセンターにいました。鋭い眼光の相棒は、2歳になるメスの「咲(さき)」。田中さんの左腕から放たれると、周辺に集まっていた数羽のカラスが一斉に退散しました。
 「鳥の仲間の頂点に立つのがタカやフクロウなどの猛禽(もうきん)類。ハトやカラスの天敵で最も怖い存在なのです」。
 「鷹匠にならないか」。害鳥駆除などを行う知人の社長に誘われたのは5年前でした。タカの飼育や訓練を担う鷹匠の歴史は古く、それまで工務店などに勤めていた田中さんは「今もそんな職業があるなんて…」と驚きましたが、すぐに「面白そうな仕事や」と興味を持ち、鷹匠の伝統的な資格を持つ先輩から手ほどきを受けることになりました。

「食事中も一緒でした」タカとの信頼関係築く

 ハリスホークは環境に順応しやすいそうです。それでもペアを組む相棒として信頼関係を築くのは難しいといいます。「毎日2~3時間、食事中も左腕に乗せ、1か月間一緒に過ごしました」。警戒心が薄れてきた頃、徐々に屋外へ。騒音に慣れさせるため市街地にも連れて出るなど、1年間かけてベテランの技を学びました。
 「『人馬一体』ならぬ『人鷹(じんよう)一体』の関係を深めるため、自宅で3羽のハリスホークを飼い、目の動きなどでその日の調子をつかめるようになりました」。

出番増える‘‘現代の鷹匠’’「皆さんの悩み解消したい」

 害鳥駆除の依頼は年々増えています。カラス退治は週に1回3時間程度活動。「一度だけでは効果がなく、1か月から3か月間、定期的に飛ばしてカラスに危険な場所だということを認識させます」。ベランダの洗濯物が汚れるなどハトのフン害も深刻です。「なかなか手ごわい相手で、ネットを張っても思うように被害が減らず、タカによる駆除の依頼が来るようになりました」。
 全国各地にも出動し、駅舎や野球場、テーマパークでも活動してきました。「珍しいところでは、漁船からタカを飛ばして海苔(のり)の養殖場に群がるカモメやウミウを追い払ったこともあります」。
 同じ猛禽類のフクロウの出番もありますが、調教しているためカラスやハトを威嚇するだけで襲うことはありません。それでも「狩猟が解禁されると実際に狩りをさせ、野生の本能を忘れないようにしています」。
 市内の点野地区は、かつて天皇が鷹狩りをした猟場に由来した地名だそうです。寝屋川市に生まれ育った田中さんは「伝統的な仕事を誇りに思っています。多くの皆さんの悩みを少しでも解消したい」と話しています。

私とふるさと

今は大東市に住んでいますが、寝屋川市には北小学校を卒業するまでいました。高学年のときはお笑いの世界で活躍されている海原ともこさんと同じクラスで仲良くし、今も応援しています。
 最寄りの香里園駅前にあったスーパーにもよく出かけ、ガード下などでも遊んでいました。
 100円玉を握りしめてお菓子やおもちゃを売っているお店に行くのが楽しみでした。たこ焼きも6個で100円でした。

鷹匠とは

江戸時代には天皇家や大名に仕えてタカを飼育、調教し、鷹狩りに同行しました。訓練の方法などによって流派があり、伝統的な技術を今に伝えています。最近は害鳥を追い払う仕事としても注目され、女性や高校生の鷹匠も誕生しています。

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更新日:2021年07月01日