令和8年度市政運営方針(令和8年2月24日)

ページID: 26372

令和8年3月市議会定例会における広瀬慶輔市長の市政運営方針です。(令和8年2月24日)

本日、3月市議会定例会に当たり、令和8年度の「市政運営方針」を申し上げます。

私は市政運営のかじ取りを始めた当初から、経営の観点に立ち、戦略的に政策を展開してまいりました。市政運営方針は、その考え方を御説明する良い機会であると考え、令和6年度は、「市民サービスの危機」と「公共施設・都市インフラの危機」という「2つの危機」を解決するため、本市が展開する2つの体系化された政策について御説明しました。1つ目は、いじめ対策などの先進的で独創性の高い、課題の本質を捉えた政策です。社会的変革を起こす可能性があり、新たなスタンダードの発信にもつながる「全国のスタンダードとなる『寝屋川水準の政策』」です。2つ目は、市民サービスのターミナル化など、市民が直面する困りごとや不便を解消する「市民満足度を高める市特有の課題を解決する政策」です。

さらに、令和7年度は「2つの危機」を解決するための手法について、より具体的に御説明しました。1つ目は、「市民サービスの危機」を回避するために必要な「人口の年齢構成のリバランス」を成し遂げるための政策です。新たな競争優位を生み出すいじめ対策などの「安心して学べる教育環境の整備」やディベート教育などの「特色ある質の高い教育」、そして担税力のある子育て世代の受皿となるまちのスペースを作り出す9つのポテンシャルエリアについてお話ししました。

2つ目は、「公共施設、都市インフラの危機」の回避策です。ダウンサイジングと市民満足度の向上を同時に実現する「ねやがわ版ROA評価」の導入について、その有効性を詳しくお伝えしました。

令和8年度は、これまで一貫して取り組んできた「選ばれるまち」の実現に向けた「ブランディング戦略」について、具体的にお話ししたいと考えております。

私は、市長就任から、約7年、未来のために必要な「投資」を進め、持続可能な競争優位を築く取組を着実に推進することで、まちの変化を確実なものとし、市内外から「選ばれるまち」となるよう市政運営にまい進してまいりました。

本市が「選ばれるまち」となるためには、2つの課題があります。それは「担税力のある子育て世代の受皿となるまちのスペースがない」こと、そして「市民プライドの醸成」です。

まず、まちのスペースの課題について考えてみます。

新住民の受皿の確保への対応については、令和7年度市政運営方針で9つのポテンシャルエリアにおける取組として具体的に御説明いたしました。

新たな開発と同時に進めなければならないのは、空き家の問題です。本市においては、高度経済成長期に大阪の衛星都市として発展してきた特有の事情から、相続等の事情で流通していない空き家が未だ多くあり、今後も更なる空き家の増加が見込まれます。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、本市域には15,450戸の空き家があります。そのうち、賃貸用が8,120戸、売却用が920戸あり、これらはいずれも市場の流通に乗っているため、問題が生じているものではありません。

これら以外の空き家は6,410戸に及び、そのうち1,300戸は全国的に課題とされている特定空家などであります。こちらについては言うまでもなく対策を行っておりますが、特に重要なのは本市の空き家の約3分の1を占める、残る5,110戸の現時点で流通に乗っていない空き家です。

新規住宅地の開発に限りがある本市は、この5,110戸の管理はされているものの市場に流通していない空き家に着目しました。これらの空き家の流通を促進することで、新住民の受皿を生み出すことが可能となります。

これまでも、不動産に関する専門家団体による「空き家流通推進プラットフォーム」を立ち上げ、空き家の増加の抑制を図っているところでありますが、更に空き家の発生を未然に防止し市場流通を促進することを目的として、市内全域の空き家を対象とした全国初の法定外普通税となる「(仮称)寝屋川市空き家流通促進税条例」の制定に向け取組を進めてまいります。

人口密度が高く、開発余地が限られた本市において、新住民を呼び込むためのまちのスペースを確保することは容易なことではありませんが、これらの取組を着実に推進し、子育て世代の受皿を増やしてまいります。

もう1つの課題は、「市民プライドの醸成」です。

市長就任直後に確認した平成30年度市民意識調査では、「寝屋川市は、犯罪が少なく、安全なまちであると思いますか」という設問について、「思う」と「少し思う」を合わせた肯定的な意見は17.6パーセントにとどまったのに対して、「あまり思わない」と「思わない」を合わせた否定的な意見は50.2パーセントにも上りました。多くの市民が治安や安全に不安を抱いており、この体感治安の悪さが、本市の重要な行政課題であると認識いたしました。

しかし、本市の治安に課題があると感じている市民が多い一方で、実際の犯罪認知件数は大阪府内平均を下回っており、相対的に悪い状況とは言えません。それにもかかわらず「治安が悪い」というイメージが実態を上回って定着していました。重大事件が重なり、全国放送などのメディアで繰り返し報道されたことで、本市に対するネガティブなイメージが市内外に広まっている状態であり、これは「負のブランド」と言えます。

同様の現象は財政面にも見られます。本市は昭和59年度から昭和63年度にかけて5年間、赤字日本一になり全国的にも注目されました。

現在、財政の余裕度を示す経常収支比率は大阪府内31市中1位が続くなど、本市の財政は大幅に改善しているにもかかわらず、実態とイメージの間に大きなギャップが生じています。これも「負のブランド」です。

このような「負のブランド」が市内外に浸透している状態では、たとえ優れた政策を実施しても、「負のブランド」が影響し、十分な評価を得ることはできません。

したがって、これらの課題に対しては、「ブランディング戦略」を立て、戦略に基づく政策を徹底して展開することが重要なのです。

【「ブランディング戦略」に基づく政策展開】

では、この「負のブランド」の状態を変えていくにはどうすればよいのでしょうか。まずは、ブランディングについてお話ししたいと思います。

商品のブランディングで考えてみます。

あるブランドが製造原価2万円のかばんを20万円で販売できていると仮定します。この場合、製造原価以上の価格で販売できているので、「実際の価値」を超えて評価されている状態、つまり、何らかの理由で「正のブランド」が成立している状態です。

この状態では、製造原価が2万から、2万1千円、2万2千円に上がったとしても、売価が連動して20万1千円、20万2千円に上がっていくわけではありません。ブランドが成立した状態では、製造原価つまり「実際の価値」と売価、つまり、「評価」は連動しないのです。

「正のブランド」について御説明してきましたが、「負のブランド」は反対の現象、つまり、商品が「実際の価値」より低く評価されている状態です。

このように、「実際の価値」よりも高く又は低く評価されている状態のことをブランドが成立している状態と言います。

では、そうしたブランディングの考えに沿って、体感治安の改善を考えてみたいと思います。先ほど御説明しましたとおり、本市は犯罪認知件数が多くないにもかかわらず、治安が悪いのではないか、というイメージを持たれます。これは「実際の価値」よりも体感治安、つまり、「評価」が低い「負のブランド」であることは御説明しました。ブランドが成立している状態では、「実際の価値」と「評価」は連動しないので、犯罪認知件数減少のための取組は重要ですが、それだけでは体感治安には影響しない可能性があります。

では、どうすれば「体感治安が悪い」という「負のブランド」から脱することができるでしょうか。その唯一の方法は、本市に関する別のポジティブなイメージを広く印象付けることです。

「負のブランド」と最も遠いイメージの「正のブランド」を新たに構築し、この「正のブランド」の輪郭が明確になれば、「負のブランド」の輪郭は薄れていきます。ブランドをコントロールすること、これがブランディングです。

いじめのない環境や教育に力を入れているまちに、治安が悪いまちだというイメージを人は持つでしょうか。これらは、「治安が悪いイメージがある」というネガティブなイメージから対角線上で最も遠いポジティブなイメージではないでしょうか。体感治安の改善には、いじめのない環境や教育に力を入れている市の姿勢を対外的に広く印象付けることが重要なのです。

さらに、競争優位を生み出す「長年解決されていない社会的課題の解決につながる政策」や「新たな価値を社会に提案する政策」を連続して実現することで、本市の「先進自治体」としてのイメージを市内外に強く印象付けることができ、本市に対してポジティブなイメージを持つことで、ネガティブなイメージの輪郭は薄れていきます。これが「正のブランド」構築です。

まず、「長年解決されていない社会的課題の解決につながる政策」とは、社会問題となっているにもかかわらず、多くの自治体で効果の高い対策を取ることができていない状況が続いているものに対する政策であり、正に今、本市が取組を進めているいじめ対策のような政策です。

いじめ対策においては、国や海外からも「寝屋川モデル」として注目を集め、多くの自治体からの視察も相次ぎ、市長部局がいじめ対応に関与する仕組みが全国展開されつつあり、本市の「先進自治体」としてのイメージを市内外に強く印象付け、本市に対するポジティブなイメージを形成し、「正のブランド」構築に寄与します。

次に、「新たな価値を社会に提案する政策」とは、メッセージ性の強い新たな価値を提案する「こだわりの施設」や「こだわりの政策」です。

この実現のためには、時代とともに変わっていく社会やシビルミニマムの変化を捉えた上で、行政サービスが単なる機能の提供にとどまるのではなく、例えば、居心地が良く、快適に利用できる公共施設や行政手続の実現など、新たなシビルミニマムへの対応を意識しながら進める必要があります。

シビルミニマムの変化を的確に捉えるためには、市民が何を求めているかを精緻に把握することが肝要であり、そのためにマーケティング手法の活用は不可欠です。ではシビルミニマムは近年どのように変化しているのでしょうか。一例として、図書館に求められる機能の変遷を御紹介します。

明治時代から昭和時代の戦前までは、図書館の主な機能は「調べる場所」、「本を読む場所」というものでした。それが戦後は、受験戦争と言われるような状況にある中で、核家族化により住宅環境が変化し、専用の勉強部屋を持つことが困難となり、そのような背景から図書館で勉強する人が増え、自習室が増加していきました。

このような50年以上前にあったシビルミニマムの変化によって、図書館の機能に「調べる場所」、「本を読む場所」に加えて「勉強する場所」としての学習空間の役割も求められるようになり、今日のような図書館の機能が確立されました。時代の変化とそれに伴うシビルミニマムが変化する中、それに対応するように機能の変遷を経てきたことから、現在の機能が不変ではないことが分かります。

そうした大きな変化から50年を経た今、図書館の機能はどう変化し、これからの図書館の機能はどのように変化していくのでしょうか。

本市が中央図書館を整備するに当たっては、シビルミニマムの変化の検証とそれに基づくコンセプト設計を新たに行いました。そこで導き出された解は、ストレス社会と言われる現代で、仕事や学校帰りに立ち寄りやすい駅前という立地に、職場や学校での日々の緊張やストレスをクールダウンし、自宅に帰る前に心身をリセットすることができる、自宅でも職場でもない「サードプレイス」という新たな機能の付与であり、図書館の新たな価値として提供しました。

そうして整備した中央図書館は、開館から僅か4年4か月で累計来館者数が150万人を超え、また、政令指定都市を始めとする多くの自治体や関西を代表する私立大学が視察に訪れるなど、市内外から高い評価を得ることができております。また、多くの市民から喜びの声が寄せられており、本市の「先進自治体」としてのイメージを市内外に強く印象付け、本市に対するポジティブなイメージの形成に寄与しています。このことが実現できたのは、中央図書館がシビルミニマムの変化を捉えたコンセプト設計に基づく、新たな価値を社会に提案する「こだわりの施設」だからです。

また、本市が全国的に注目された特区民泊事業からの離脱表明も、「ブランディング戦略」としての側面を持ちます。本市は大阪市内のように特区民泊の問題が発生しているという状況ではありませんでした。

既に「負のブランド」の解消には、そのイメージの対角線にある「正のブランド」の構築が必要であることを述べました。「体感治安が悪い」というイメージの対角線上にある「特区民泊を必要としないまち」という、住宅都市としての魅力あるまちづくりを行い、子どもたちが安心して学べる質の高い教育環境を整備する、このような市のブランドメッセージを力強く発信する意図がありました。

この特区民泊事業からの離脱表明も様々なメディアで取り上げられ、本市に対するポジティブなイメージを市内外に広くアピールすることとなりました。

このように本市における各種施設整備や政策の実施は、それらが本来持つ機能・役割・目的だけではなく、「ブランディング戦略」上の狙いも強く意識したものです。

「ブランディング戦略」に基づくまちのリノベーション

「『ブランディング戦略』に基づくまちのリノベーション」にも着手いたしました。

ブランドを構築していく上で重要なもう一つの視点は、デザイン・規格の統一化によるイメージの形成です。これにより、1足す1を3にも4にも変えることができます。これがブランドの効果です。

例えば、どの店舗に行っても同様のサービスを受けることができる、又は、商品品質が保たれているフランチャイズチェーンは、ロゴや店舗デザインを均一化することで、ブランドを視覚的に伝え、顧客に瞬時に安心感を与えることを「ブランディング戦略」として行っています。

また、プライベートブランドは、ロゴやデザインを統一することで、ブランド価値の最初の伝達装置として単なる包装を超えて関連性やストーリーを消費者に感じさせることができます。そのことでブランドの存在感が増し、「相乗効果」を発揮しています。

仕様をそろえることで、個々の合計以上の効果を発揮する、正に「相乗効果」が「ブランディング戦略」の要諦の一つであります。

通常、自治体が公共施設を整備する際は、担当部局がそれぞれ設計・発注をすることになります。一つ一つは優れた施設であったとしても、ここでの問題は、「ブランディング戦略」を意識せず、デザイン・規格の統一化が図られていないため、「相乗効果」を発揮できていないことです。

本市は、現在、「集約化・複合化」をキーワードとした公共施設のダウンサイジングをしつつ「小さくてもこだわりのある施設」をコンセプトに市民満足度の更なる向上を図る公共施設の整備を行っているところです。「こだわりの施設」は市の考え方や方向性を自動的・持続的に発信し続ける「メディア」としての効果があります。

さらに、本市のブランドイメージを想起させる統一されたデザインに基づいた設計を行うことで、公共施設の「メディア」としての機能の「相乗効果」を生み出すことができます。

中央図書館や寝屋川市サービスゲートが、設置時期や担当部局が異なるものの、落ち着いた空間演出やインテリア、印象的なデザインといった共通するイメージを備えている背景には、このような「ブランディング戦略」上の狙いがあります。

「『ブランディング戦略』に基づくまちのリノベーション」は、公共施設だけではありません。

多くの市民が集うイベントもまちのブランドイメージを形成する重要な要素と捉え、「ブランディング戦略」上の狙いも強く意識して内容を企画しています。

「月見とランタンの夕べ」は、中央図書館や寝屋川市サービスゲートと共通した、本市の既存イメージとは少し異なる、落ち着きのある大人の空間をコンセプトに掲げています。令和6年度は「桜と光の舞」を上回る来場者数となり、「家族でゆっくり楽しめた」などの市民の声をいただいており、ここでも本市のポジティブなイメージを市内外へ広く発信する機会となっています。

また、今年の「合同消防出初式」は、本市における開催場所を初めて淀川河川公園から寝屋川市駅前へ変更するとともに、ショーのようなイベントを意識した内容としたことで、当日は過去最多の来場者を迎え、大いに賑わいました。

「普段は見られない消防車をたくさん見られてうれしかった」という観覧者の声に加え、参加した消防団員からも「大勢の市民が手を振って応援してくれ誇らしかった」などの感想が聞かれ、「治安が悪いイメージがある」の対極にある「安全なまち」というポジティブなイメージを市内外へ広く発信する機会となっています。また、地域の消防団が活躍する姿は、市民プライドの醸成にも寄与します。

華々しいイベントだけではありません。令和6年度に実施しました「市民大訓練」は、当初想定を上回る市民に御参加いただき、「訓練を通じて防災意識は高まったか」との参加者アンケートの結果は、肯定的な意見が約90パーセントを占めるなど大きな効果がありました。本市初となる全市域での一斉訓練を通じて市民の一体感を醸成することは、市のイメージ向上にも寄与し、「正のブランド」の構築につながるものです。

落ち着きのある大人の空間をコンセプトとした中央図書館や寝屋川市サービスゲート、「月見とランタンの夕べ」、市民の一体感を醸成する「合同消防出初式」や「市民大訓練」など、いかに「ブランディング戦略」に基づく施設整備やイベント等の実施が、まちのポジティブなブランドイメージを形成する機会となり得るかがお分かりいただけたと思います。

「ブランディング戦略」の成果

競争優位を生み出す、いじめ対策のような「長年解決されていない社会的課題の解決につながる政策」や中央図書館のような「新たな価値を社会に提案する政策」による「正のブランド」構築の成果が表れつつあります。例えば成果として広告に換算した広告効果額に顕著に表れています。現在、本市は、多くの政策が新聞やテレビなどのメディアで取り上げられ、私が市長に就任した令和元年度から令和7年12月までの広告効果額の総額は17億円を超えております。

広告効果額が増加すると、市外からの新たなイメージが醸成されます。市外からの新たなイメージの醸成とは、常に市民に寄り添う政策をスピード感を持って実行するなど、本市の「先進自治体」としての取組が好事例としてメディア等で広く紹介され、市外から高い評価を得ている状態です。

実際に、民間企業の調査においても本市は「住みたいまち」として高い評価をいただき、SNS上でも「寝屋川市民がうらやましい」といった称賛の声が見られるなど、市外における本市のイメージは大きく向上しました。

こうした手法は、いわゆる「プロモーション戦略」と呼ばれるものです。その中でも「広告戦略」は、費用を投じて、サービスや商品を宣伝するもので、本市においても、私が就任する令和元年度以前は、インターネット広告やテレビCM、映画館でのPR動画上映など、広告費用を支出する「広告戦略」に基づくシティプロモーションを行っていました。

私の就任後は、「プロモーション戦略」の中でもより難易度の高い「パブリシティ戦略」へと転換しました。これは広告費用を払って宣伝する手法とは異なり、市の政策が新聞やテレビなどのメディアにニュースとして取り上げられることを狙う戦略です。広告費用を掛けずにより高い信頼性と波及効果を得られるのが特徴です。

ただし、メディアに掲載されるには高いニュースバリューが不可欠です。この戦略を具現化するには、先ほど御説明した「長年解決されていない社会的課題の解決につながる政策」や「新たな価値を社会に提案する政策」を実現する必要があり、本市が展開する「パブリシティ戦略」がいかに高度で困難なものであるか、御理解いただけるのではないかと思います。

一方、「『ブランディング戦略』に基づくまちのリノベーション」は、市民満足度の向上をもたらします。市民が自らのまちを自慢に思い、高く評価している状態です。

近年、特に、市民によるSNS上での発信や市民からの市役所に対する声において「市が変わってきた」、「よくやってくれている」といった好意的な意見が多く寄せられるようになっています。また、市民満足度の向上は、市民意識調査の結果にも表れています。令和5年度市民意識調査において、「市政運営を評価する市民の割合」は90パーセント近くに達しており、市民満足度が高い状態だと読み取ることができます。

市民満足度の向上は、市民プライドの醸成につながります。市民プライドの醸成とは、市民がまちに満足し、自慢に思い、まちの変化に呼応して、自分たちのまちに対して誇りを持ち始めている状態です。

加えて、先ほど述べた「正のブランド」構築を目的とした政策もまた、政策の成果を享受する市民の満足度が向上し、市民プライドの醸成に当然に寄与するものです。

最後に、市外からの新たなイメージの醸成と市民プライドの醸成の関係につきましては、双方がお互いに影響し合っております。本市の取組が先進的な好事例としてニュース等で取り上げられ、市外からも評価されている状態である、市外からの新たなイメージの醸成は、市民プライドの醸成につながります。

一方で、市民プライドが醸成されると、市民のまちへのポジティブな評価が口コミやSNSで伝播され、市外に波及し、市外からの評価が高まります。

このように、市外からの新たなイメージの醸成と市民プライドの醸成は互いに好循環をもたらしながら、「正のブランド」を構築します。

ここまで、本市の「ブランディング戦略」について御説明しました。繰り返しになりますが、このように本市における各種施設整備や政策の実施は、それらが本来持つ機能・役割・目的だけではなく、「ブランディング戦略」上の狙いも強く意識したものです。

「正のブランド」の輪郭が徐々に強くなることで「負のブランド」の輪郭が薄まり、新たな時代の兆しが見え始めています。

令和8年度の主要な施策

令和8年度予算は、持続可能な競争優位の構築と市民満足度の向上への取組を加速させ、未来への必要な「投資」を戦略的に進めるため、事業の選択と集中を行い、社会経済情勢を見極めながら市民ニーズを捉え、編成しております。

それでは、令和8年度の主要な事業について、申し上げます。

5歳児に対して健康診査を実施することにより、子どもの特性を早期に発見し、学校生活で必要となるスキルを身に付ける支援や個別相談等のフォローアップを行うなど、安心して就学できるようサポートを行います。

保育士の安定確保と定着化を図るため、指定保育士養成施設の学生を対象に、市内の保育施設で5年間就労すれば一部返還免除とする修学資金の貸付制度を創設します。

また、長期休業期間に有償インターンシップ制度を導入し、保育現場の体験を通じて保育の魅力発信を行います。

保育及び介護分野において慢性的な人手不足が生じていることが社会的な課題となっている現状を踏まえ、人手不足の解消を目的として、「働く」ことで社会と関わり、地域に貢献したいと考える元気なシニア層が、保育及び介護分野における新たな担い手として安定的に活躍できるよう、「(仮称)健康就労人材バンク」の仕組みを構築し、就労ニーズと人材の特性を踏まえた的確なマッチングを行うことで、保育・介護事業所に対しては人材確保による継続的なサービス提供体制の確保を、就労する者に対しては就労を通じた健康増進の促進を一体的に進めます。

子ども専用図書館を始め、子育て支援のためのスペースや自習室を備える「こども図書館+plus(プラス)」 を開館し、一時保育を始めとした子育て支援の総合的な拠点及び全世代の学習拠点として多彩なサービスを展開します。

子ども一人一人が精神的に自立した一個の市民として扱われるよう、子どもにとって大切な権利を保障し、社会に参加する機会を享受できる環境を実現するため、本市における子どもの権利に関する条例の制定に向けた取組を進めます。

これからの子どもたちが生きていく社会では、国や宗教の違い、人種やルーツの違いを始め、様々な価値観の違いに直面します。そのような社会の中で、子どもたちがしっかりと生き抜く力を身に付けるためには、合意形成のプログラムが不可欠であり、そのために「ディベート」、「スピーチ」、「読書」の3本柱からなる市独自の「寝屋川教育」を推進します。

成果が表れつつある「寝屋川教育」を新たな競争優位として、市内外に発信するため、「(仮称)寝屋川15年一貫教育ガイドブック」を作成します。

子どもたちが論理的思考力を身に付けることを目的とした「多読」の実践により、情報や知識の向上につなげ、子どもたちの考える力を育む学習環境の更なる充実を図ります。

国による小学校給食費の無償化を実現します。それに加え、国の無償化では不足する物価高騰分について、市独自の支援を行います。

児童生徒が快適に学べる教育環境の充実を図るため、市立小中学校の最上階普通教室の遮熱対策を実施します。

登校に結びついていない児童への学習機会の確保のため個別指導型学級を設置し、一人一人の状況に応じたきめ細かな支援を行います。

若手教員の授業準備などに効果を発揮し、市立小中学校の業務を支援する生成AIを導入し、教職員の働き方改革を推進します。

子育て世代の受皿となるポテンシャルエリアとしての国松土地区画整理事業を推進し、令和8年12月のまちびらきに向け、必要な支援を行います。

本市に居住を希望する人の受皿を確保するため、空き家の発生を未然に防止し、市場流通を促進することを目的とする「(仮称)寝屋川市空き家流通促進税条例」の制定に向けた取組を進めます。

公共施設間の利便性の向上を図るため、寝屋川市駅東側ペデストリアンデッキ及び地下通路改修工事を行います。

シルバー世代や妊婦等が、快適で気兼ねなく利用できる一休みベンチを設置し、外出しやすいまちづくりを進めます。

市制施行75周年に伴い、発行冊数を6万冊から7万5千冊に増やしたプレミアム率10パーセントの商品券等発行事業を支援し、市内での消費拡大と物価高騰に対する市民生活の支援を図ります。

災害時の断水に備え、市民の命を守るための飲料水が確保できるよう、市立小学校に飲用に供する井戸の掘削工事及び揚水設備の設置を行います。

地域に根差した消防団と地域協働協議会が協力し、要救助者を共助の力で救助・救出する訓練を実施します。

災害時における避難所等への給水体制の強化を図るため、新たに給水車1台を購入し、2台体制とします。

ねやちょ筋プレミアムの一環として、対馬江大利線に歩行距離が分かるウォーキングコースを設置するとともに、アプリの構築、トレーニングスペースの設置を行います。

若年がん患者が、住み慣れた自宅で最期まで自分らしく安心して生活を送ることができる環境を整えるため、在宅療養サービスに係る利用料等を助成します。

頼れる親族がいない高齢者が、将来への不安を抱えることなく安心して日常生活を送ることができるよう、医療・介護・葬送に関する課題の解決に向けた支援を行います。

成年後見相談支援員を配置し、成年後見制度に関する相談・支援体制を整備することにより、成年後見制度の利用を必要とする人が、確実に適切な支援につながり、制度を円滑に利用できる仕組みを構築します。

クリーンセンターで発電した電気を本庁舎や全市立小中学校等39施設へ自己託送することにより、施設の光熱水費のうち電気料金の歳出削減及び二酸化炭素排出量の抑制を目的として電力の地産地消事業を実施します。

この取組により、公共施設からの二酸化炭素排出量の削減が見込まれることから「2050年までに本市における二酸化炭素排出量ゼロ」を目指すことを宣言します。

ターミナル化構想に基づき、市民の生涯学習及び市民相互の交流を推進するとともに、高齢者福祉を増進するための市民活動の中核となる施設をアドバンスねやがわ1号館5階に整備します。

公共施設予約システムについて、対象施設の拡充やキャッシュレス決済を導入することにより、公共施設の利用に係る市民等の利便性向上を図ります。

打上川治水緑地のリニューアルに向け、打上川治水緑地パークマネジメントプランに基づき、スライダー、ミストの設置や紅葉の植栽などの公園施設の整備を実施します。

あらゆる世代のスポーツ・レクリエーション活動に資するよう、アドバンスねやがわ1号館屋上及び総合センター跡地の小規模・多機能型スポーツ広場への整備を実施します。

災害時の地域コミュニティの重要性を伝え、災害に強い地域づくりを進めるため、「(仮称)寝屋川防災フェア」を開催します。

打上川治水緑地のリニューアル工事に伴い、令和8年は例年の開催場所を変更し、寝屋川駅前線で開催する「寝屋川まつり」を支援します。

市民生活に影響を与える迷惑行為を未然に防止し、平穏に暮らす権利を守るため、「(仮称)迷惑防止条例」の制定に向けた検討を進めます。

各種証明書のコンビニ交付手数料を時限的に一律10円に減額し、より多くの方にコンビニ交付の利便性を実感していただくことで来庁しなくてもよい市役所を推進するとともに、マイナンバーカード保有率の向上を図ります。

即時性の高い市政情報の発信のため、市内各地域に市政情報に関するポスターを掲示します。

市民ニーズの多様化や即時性への要請に応えるため、AI技術を活用し、問合せ対応を自動化する「対話型AI応答システム」を順次導入し、更なる市民サービスの向上及び業務の省力化を図ります。

結び

令和8年度は市長として2期目の最終年度であり、一つの節目の年となります。

私は、市政の運営とは、これまで積み重ねてきた価値や文化を大切にしながらも、時代の流れを的確に読み取り、将来あるべきまちの姿に照らして政策を立案し、実行していく不断の挑戦であると考え、市長就任当初から一貫して本市が「選ばれるまち」へと変化を遂げるための「ブランディング戦略」を推進してまいりました。

その挑戦の結果、「変化の兆し」が様々な場面に表れ始めており、人口の年齢構成についてもリバランスの兆しが読み取れ、本市のターゲットである子育て世代の人口割合が拡大しています。

令和6年4月に人口戦略会議が発表したレポートにおいて、本市が消滅可能性自治体から10年ぶりに脱却したことは昨年度の市政運営方針においてお話ししたとおりですが、本市の社会動態における人口は着実に改善が見られます。令和6年においては431人の転入超過となり、令和7年においてはそれを上回る822人の転入超過となりました。

822人の転入超過は昭和48年以降で最多となる転入超過数であり、これまで転出超過傾向にあった本市が「選ばれるまち」へと進化を遂げていることが示されております。

更に詳しく見てみますと、総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、令和6年における本市の39歳以下の社会動態は、統計データが残る平成24年以降で初めて転入超過となりました。本市の全人口に占める20代及び30代の人口割合におきましても、令和5年4月には19.40パーセントであったのが、令和7年4月には19.64パーセントとなるなど、伸びが示されております。

人口構造の変化は一朝一夕で成し得るものではありませんが、本市が進める「選ばれるまち」に向けた取組が着実に結実し始めています。

昨年、北川進さんがノーベル化学賞を受賞され、本市初となる名誉市民の称号を贈呈いたしました。北川進さんは、講演の中で御自身の歩みを振り返り「誰も必要と思っていないところにフィールドを作っていく。そういう創造的な考え方を必ず持っておく必要がある。」と述べられました。

この言葉は、市政の運営にも深く通じるものがあると感じております。本市は他市と比べると「選ばれるまち」としての要素、住環境面での経営資源は決して多くはありません。だからこそ、全国の自治体が長年課題として抱えてきたにもかかわらず、誰も踏み込めなかった分野、あるいはその課題すら見過ごされてきた領域に対し、先駆的に挑戦し、独自の創造的なアプローチで解決に取り組む姿勢で歩んでまいりました。

本市は、令和8年度に市制施行75周年を迎えます。多くの市民から本市に対する期待の声が寄せられるようになり、「選ばれるまち」に向けた「変化の兆し」が感じられるようになった今こそ、本市が特別なまちとして新たな地位を築くチャンスです。

来年度はこれまで積み重ねてきた取組を次の段階へと発展させる重要な一年であると肝に銘じ、市民の声に真摯に耳を傾け、挑戦を恐れず、職員と共に寝屋川市ならではのブランド価値を磨き続けてまいります。

令和8年度当初予算案

 令和8年度当初予算案につきましては、

一般会計

1,097億3,000万円(対前年度比5.0パーセント増)

特別会計(国民健康保険特別会計 外4特別会計)

544億2,200万円(対前年度比4.7パーセント増)

公営企業会計(水道事業会計及び下水道事業会計)

191億8,000万円(対前年度比1.2パーセント増)

合計

1,833億3,200万円(対前年度比4.5パーセント増)であります。

議員並びに市民の皆様におかれましては、格段の御支援・御協力をいただきますよう、心からお願い申し上げます。

令和8年度当初予算主要事業概要は次のページからご覧いただけます。

用語説明

ダウンサイジング

コストダウンや効率化のために規模を縮小することをいいます。

法定外普通税

地方税法に定める税目(法定税)以外に、条例により税目を新設することができ、これを「法定外税」といい、法定外税のうち、特に使途を特定せずに徴収される地方税を法定外普通税といいます。

体感治安

統計に表されたものではなく、人々が日常生活の中で感じる治安の状況のことをいいます。

経常収支比率

人件費、扶助費、公債費など、毎年度継続して支出される経費に対して、市税、地方交付税などの一般財源がどのくらい使われているかを表す指標。この比率が低いほど、自由に使える財源が多いことを意味します。

シビルミニマム

教育・福祉・衛生・住宅・交通機関など、地方公共団体が住民の生活のために保障しなければならないとされる、最低限度の生活環境基準のことをいいます。

政令指定都市

地方自治法で「政令で指定する人口50万以上の市」と規定されている都市のことをいいます。

まちのリノベーション

既存の不動産を再生させ、新しい機能や価値を付与することで、まちの魅力の向上、地域の活性化につなげる取組のことをいいます。

広告効果額

メディア掲載の価値を広告費用に換算した金額のことをいいます。

成年後見制度

認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人(「後見人」等)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度のことをいいます。

自己託送

自家用発電設備で発電した電気を、別の場所にある自らの保有する施設等へ送電する仕組みのことをいいます。

消滅可能性自治体

民間有識者でつくる「人口戦略会議」による分析において、若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少すると見込まれる自治体のことをいいます。

この記事に関するお問い合わせ先

企画一課
〒572-8555
大阪府寝屋川市本町1番1号(市役所本館2階)
電話:072-825-2016
ファックス:072-825-0761
メールフォームによるお問い合わせ

更新日:2026年02月24日