寝屋川再生ワークショップの実施報告 第5回ワークショップ(平成14年1月27日)

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第5回寝屋川再生ワークショップ

寝屋川市の景観シンボルである一級河川寝屋川(ねや川)を、市民が身近に感じ、より親しみやすい自然豊かな清流へと再生する、その方向性を検討する「寝屋川再生プランワークショップ」の第5回ワークショップが平成14年1月27日、市役所会議室で行われました。

会議室内にグループに分かれて座っている参加者が、同じ方向を見ているワークショップの様子の写真

今回は、平成13年6月17日に第1回ワークショップを開催して以来、4回にわたって開催されたワークショップのまとめの会として、これまでの個々の具体的再生案の取りまとめと、全体にわたる整備の基本的方向性の確認を行いました。前回のワークショップで提案された市民主体の新たな会の立上げについても話し合われ、3班の摂南大学の澤井健二教授を会長に「ねや川水辺クラブ」として正式に発足することになりました。
プラン作成にあたった各委員の「自然が感じられる清流寝屋川を取り戻し、やすらぎのある河川へ」との強い思いが、プラン作成にとどまらず、自ら行動を起そうとの意識へと高まり、第5回のワークショップは、次のステップに向かう意義深い会合になりました。
平成14年度からは、ワークショップによる再生プランの充実を行なうとともに、「ねや川水辺クラブ」を、市と市民が協働して一級河川「寝屋川」の再生に向けて具体的な活動を行うボランティア団体として位置付けて、ワークショップと連携しながら、新たな取り組みも行っていくことを確認しました。

第5回ワークショップ当日は、各委員とともにオブザーバーとして、府立高専で土木工学を教えておられる本田先生、土木コンサルトの矢野さん、白坂さん、青年会議所の清水さん、川端さんをはじめ、大阪府河川室や枚方土木事務所寝屋川出張所所長、寝屋川上流部の浚渫工事(3月末に完了)の説明のため技師の丸尾さんらが出席し、一年の活動の総まとめにふさわしいにぎやかな顔ぶれになりました。

会議室内にグループに分かれて座っている参加者が、熱心に話しを聞いている写真

まず、この一年間、ワークショップの運営進行に関わっていいただいた久保田さんから、ワークショップ第4回での検討内容について、各委員が描いた「寝屋川」再生への夢や意見を盛り込んだ報告書の取りまとめを進めること及び、今後の活動の方針として委員をはじめ市民参加で取り組む新たな会を作ってはどうか、との提案が出ていた件について、具体的な活動を検討するために事前に行われた世話人による検討委員会での話し合いの内容が説明されました。
報告書には一年間、検討した内容ならびに各委員から出されていた意見を最大限盛り込んで、事務局で文言の修正を行い『寝屋川 川・ワーク』のタイトルでまとめることになりました。

今回は、寝屋川再生に向けた計画の方向性を確認することと、今後の活動方針を決めることが、話し合いの主要なテーマでしたが、大阪府が行う寝屋川上流部(三井団地付近)の浚渫工事について、ワークショップ委員の生物、底質の調査報告をもとに、丸尾さんからの説明をうかがいながら、浚渫工事に対しての話し合いも行われました。

浚渫工事(この3月に行われました)を行う三井団地付近は、コンクリート護岸ですが堆積した土砂の上に植物が繁り、また魚や水生生物が生息するなど二次的自然の豊かな景観を備えており、地域の住民の方々も川の清掃を積極的に行うなど、現行の景観にたいへん愛着をもっておられます。当初の府の計画では「現在の自然景観を出来るだけ残す」工事になる予定でしたが、ヘドロ、土砂の堆積が予想以上で大幅に浚渫する必要があることが、1月17日の検討委員会の席上、丸尾さんから説明がありました。

資料が貼られているホワイトボードの左側にスーツを着た男性が立ち説明しているのを、参加者が聞いている写真

この説明を受けて、「上流域に残された砂州は、寝屋川の水生生物にとって貴重な生息環境であり、自然を根こそぎ取ってしまうと取り返しがつかない、浚渫予定の三井団地付近河床の植物や、魚類、水生生物の生息状況や底質を至急調査しよう」との意見が沸き起こり、1月19日には専門知識のある委員さんが中心になって調査を行った、というのが、この日までの経緯です。

この日の委員さんの調査報告では「冬のこの時期は植物が枯れていたりして同定は困難であった、希少種は見あたらなかったが、在来種の他、栽培植物も多く見られたが、護岸や橋の下に大繁殖していたり、自然石やブロックの隙間など、植物はいろんな状況下に適応して育っていた。一概に草といっても色々あって面白く、動物にとっての多様な生息環境をかたちづくっている。泥や砂礫、大きな石、深みや瀬なども同様だ、浚渫すると全部もっていかれてしまうので不安」。
「しかし、一部の区間は、砂の中に生物は少ない(酸素不足の関係)。上流の底砂はヘドロと油でベトベト。また、川は魚や植物だけではない。虫や魚がいるからこそ鳥もいる」と、川を中心にして様々な生き物が関わっていることが紹介されました。
調査から、浚渫工事については「場所によっては、ヘドロの下には紫色の砂が存在し、硫化水素が蓄積していることが確認され、寝屋川斎場付近等の区間に限っては浚渫工事はやむをえない」との結果になりました。

丸尾さんからは、「今回の皆さんの調査結果などを踏まえ、川の断面を考えながら設計をしていきたい。出来るだけ植生(草)のある所は残して、ヘドロのある部分を浚渫。川の蛇行や淵・瀬については工事を進める中で対応していきたい。石(けんち石)や礫が多く落ちているので、それらをこそげ取ってしまうだけではなく、あちこちに点在している石をまとめて配置する場所をつくる等生息環境の創造も行なって行きたい」との説明も受けました。委員からは、「(大阪府と寝屋川市民の)情報の行き来がある、これだけでもワークショップの成果のひとつといえるのではないか。良いことだと思う」との意見をいただきました。

「工事は民間業者が行い、重機も投入されるが、くれぐれも(業者だけに)任せにしてしまわず、今まで話し合ったアイデアや意見が活かされる工事となるようにして欲しい」との意見を反映し、さらに今後の浚渫工事も視野に入れて、可能な限り自然の景観を残した工事を行うように、大阪府に対してワークショップ有志の名で要望書を提出することも決めました。
(なお、この要望書は、2月に枚方土木事務所長に提出しました)

さて、今回のワークショップの重要な議題の一つである今後の活動方針については、摂南大学の澤井教授から「ワークショップの初めの頃は、単年度でのワークショップ実施ということで、対象とする場所を寝屋川本線沿いに限定して進めていたが、流域・農業用水路・ため池などの水辺も対象にしてはどうか?」と、将来には市内の河川・池を面的に捉えて、活動していくことも提案されました。特に大阪府は、下水道部局が中心になって水辺空間を小学校区にひとつは残していく、河川部局では一級河川の環境整備の検討を行う、という2本柱となっていることもあり、面的に捉えて活動していくことも大切との、方向を確認しました。
ワークショップは平成14年度も継続して行う予定ですので、今後、委員さんからの意見や提案をいただいて反映していく方針です。

また、課題別分科会と市民主体の新たな会の立上げについて、世話人による「ワークショップ今後の検討委員会」が数回行われ具体的な検討を行ってきました。

ねや川再生ワークショップ検討委員会とネットワークの概念図がホワイトボードに書かれている写真

討委員会から、市と協働する市民のボランティア団体を作り、そのクラブの中に4つ程度の分科会を作って、それぞれ関心がある、興味がある分科会に入ってもらい、ワークショップと連携しながら具体的な活動プランを分科会で作成する、とのタタキ台となる案が紹介されました。これは、すでに、ワークショップのなかでも課題別に分かれた話し合いを試みましたがそれを市民レベルにも広げようとするものです
会の名称は「ねや川水辺クラブ」とし、
(1)植物、鳥、魚などを中心に生態・水質の調査など今後の川づくりの基礎となる調査・研究などをおこなう環境の分科会
(2)川を身近に感じ親しむため、船遊びなど、水をキーワードに遊び親しむとともに、他地域の活動への参加、交流を行う親水の分科会
(3)伏越の水路、治水の歴史など寝屋川市における川の歴史を掘り起こし、川を知るため"水"についての歴史・文化に触れる歴史と文化の分科会
(4)川を良くするため、レクリエーションも楽しみながら川の環境美化に取り組む清掃の分科会。
以上の4つの分科会を設けて、広く市民に参加を呼びかけるというものであったが、そこは状況を共有した仲間たち、早速この案を承認し、それぞれ希望している分科会に分かれて、今後の各分科会の活動プランについての話し合いにまで進みました。

グループごとに座って議論している様子の写真

予定の時間を大幅に延長して熱心に議論され、各分科会から意欲的な活動方針やプランが発表されました。
環境の分科会からは、「現地調査をしてアピールしたい。環境マップづくりもしたい。釣りをしている人とのコミュニケーションもしてみたい」「次世代の子どもに良い環境を残したい。ビオトープづくりなど実践的な勉強会もしたい。またモニタリングを行いデータ蓄積し図表化して報告書を作成し、浄化計画への提言、他地域との広域交流発表会にも参加して、共同調査の活動もしたい。」「水質浄化のため、木炭や植物で実験も行いたい」と報告されました。

会議室の扉に大きな模造紙が貼られ、3名の参加者が発表を行っている様子の写真

川遊び・親水の分科会からは「桜の季節に市民とともに寝屋川の川下りを是非行いたい。また水辺の植物を使ってヨシ笛、ささ舟づくりなどの伝統玩具の遊びや、ストーンペイントなど川に親しめる遊びを市民と共に楽しみ、また新しい川遊びも作っていきたい」とのことでした。
清掃の分科会からは、「『一人1回くらいは実際に川掃除をしてみよう』、と広く呼びかけながら、モラルアップも図って行きたい。市民に川にどんなゴミが落ちているのかアンケートを実施するのも一つの方策。また掃除仲間を増やしていきたい。掃除後にバーベキューをするなど楽しみながら取り組めるように工夫していきたい。活動は記録して、活動の記念となる物を参加者にあげることも検討してはどうか。活動を高めていき、川を市のシンボルにすることが大事」との話が出されました。

大きな模造紙に歴史文化分科会イメージと書かれた検討成果の写真

歴史と文化の分科会からは「文献だけでなく、地域のお年寄りにヒアリングを行い、実際に水辺を歩いて研究するなど行動をしたい。また、他市の流域メンバーとのネットワークづくりにも取り組みたい」など、寝屋川再生への熱い想いや、夢を盛り込んだ活動の提案が各分科会から寄せられました。

大きな模造紙に環境グループ検討成果が書かれている写真

これらの提案を早急にアクションプランとしてまとめ、ワークショップ・水辺クラブが連携して行動していくことを確認しました。

市からは、イベントや呼びかけを今年は何か具体化したいと考えていて、協働で出来るよう日程調整を行って進めたい、と今後の方針が説明されました。また平成15年3月に大阪、京都、滋賀の3会場で開催される第3回世界水フォーラムを記念してワークショップとしての関連事業を推進していくことになりました。
このように、ワークショップは寝屋川再生に向けて検討を行いながら、水辺クラブを実行部隊にして、いよいよ今年度から、市民とともに幅広い分野で具体的な活動を実施していくことになりました。
これら、水辺をめぐる多様な活動を通じて水辺環境の保全と創造を推進していくため市民の皆様方のご理解とご協力をお願いするとともに、積極的な参画をお待ちしています。

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更新日:2021年07月01日