定点把握疾患について
週報対象疾患
インフルエンザ
潜伏期間 |
1日~3日 |
症状・特徴 |
突然の高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、咳・鼻汁などを伴うことを特徴とする。合併症として脳症、肺炎を起こすことがある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種は、重症化予防を目的として行う。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 治療は、症状に応じた対症療法が中心だが、抗インフルエンザ薬も使用されることがある。 |
新型コロナウイルス感染症
潜伏期間 |
1~14日 |
症状・特徴 |
発熱、呼吸器症状、倦怠感、頭痛、消化器症状、味覚・嗅覚異常などの様々な症状を呈する。なお、オミクロン株では鼻汁・鼻閉・咽頭痛などの感冒様症状が多く確認されている。 |
感染経路 |
エアロゾル感染(注釈5)・飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種は重症化予防を目的として行う。予防には、手洗い・咳エチケット・換気が有効。 |
RSウイルス感染症
潜伏期間 |
2日~8日 |
症状・特徴 |
乳児期の発症が多く、2歳までにほぼ全ての小児が感染するといわれている。生涯にわたって感染を繰り返す。症状は、発熱・咳・鼻水などのいわゆる風邪の症状だが、細気管支炎、肺炎になることもある。特に、低出生体重児や心臓・肺に基礎疾患がある場合は重症化のリスクが高まる。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
咽頭結膜熱
潜伏期間 |
5日~7日 |
症状・特徴 |
アデノウイルスによる感染症である。プールでの感染があることから「プール熱」とも呼ばれるが、プール以外でも感染する。発熱・咽頭炎・結膜炎の3主症状とするウイルス感染症である。まれに、重症肺炎を合併することがある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2)・経口感染(注釈3) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・うがいが有効。プールや温泉施設を利用するときは、前後のシャワーを必ず浴びるようにする。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
潜伏期間 |
2日~5日 |
症状・特徴 |
症状は、発熱・咽頭発赤・苺状の舌などが現れる。しばしば嘔吐が見られる。稀に重症化し、喉や舌・全身に発赤が拡がる猩紅熱(しょうこうねつ)といわれる全身症状が現れる。合併症として肺炎・髄膜炎・敗血症、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などを起こすこともある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 |
感染性胃腸炎
潜伏期間 |
1日~3日 |
症状・特徴 |
細菌又はウイルスなどの感染性病原体による感染症である。原因はノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルス感染が多い。また、エンテロウイルス、アデノウイルスによるものや細菌性のものも見られる。主症状は嘔吐や下痢であり、発熱・腹痛が見られることもある。ノロウイルスはす全ての年齢で発症する。ロタウイルスは乳幼児で多く発症する。 |
感染経路 |
接触感染(注釈2)・経口感染(注釈3) |
予防・治療方法 |
ロタウイルスのみ予防接種あり。予防には、手洗いが有効。カキなどの二枚貝は、中心部まで十分に加熱する。便・嘔吐物の処理の際には、使い捨て手袋・マスク・エプロンの着用をする。症状が治まった後も3週間から4週間は便にウイルスが排出されるのでトイレの後やオムツ交換の後、食事前には必ず手洗いをする。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
水痘
潜伏期間 |
10日~21日 |
症状・特徴 |
水痘・帯状疱疹ウイルスの初感染による感染症である。一般的に、「みずぼうそう」と呼ばれる。症状は発熱と全身の発疹である。それぞれの発疹は紅斑、紅色丘疹(盛り上がった赤い発疹)、水疱(水ぶくれ)、痂皮(かさぶた)への経過で変化していくが、新しい発疹が次々と出現するため、新旧種々な段階の発疹が同時に混在する。 通常軽症で終生免疫を得ることが多いが、成人では重症になり、肺炎などの合併症も増える。 |
感染経路 |
空気感染(注釈4)・飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種あり。(1歳から3歳未満、定期接種、2回接種) 水痘患者に接触した場合でも3日以内に予防接種を接種すれば発病予防・軽症化が期待できる。 治療は、抗ウイルス薬などによる治療が行われる。 |
手足口病
潜伏期間 |
3日~5日 |
症状・特徴 |
エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる感染症である。主として乳幼児にみられる。軽い発熱、食欲不振、のどの痛み等で始まり、手のひら、足の裏、口の中などにできる水疱の発疹が主症状となる。通常1週間程度で消失する。ごくまれに髄膜炎や脳炎などが生じることがあるので、発熱や嘔吐、頭痛などがある場合は注意を要する。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 症状が治まった後も2週間から4週間、便にウイルスが排出されるのでトイレの後やオムツ交換の後、食事前には必ず手洗いをする。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
伝染性紅斑
潜伏期間 |
4日~10日 |
症状・特徴 |
ヒトパルボウイルスB19による感染症である。両頬がリンゴのように赤くなることから、「リンゴ病」とよばれる。症状は、両頬に赤い発疹が現れ、続いて手足に網目状の紅斑が出現する。頬に発疹が現れる7日~10日前に微熱や風邪症状が見られることが多いが、この時期のウイルスの排泄が最も多くなる。小児に多い病気だが、大人もかかる。妊娠中にウイルスが感染した場合、まれに胎児の異常や流産が生じることがあるので注意を要する。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 妊娠中の女性は、周囲で患者発生がある場合は風邪症状のある人との接触をできるだけ避ける。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
突発性発しん
潜伏期間 |
10日程度 |
症状・特徴 |
ヒトヘルペスウイルス6型・7型による感染症である。0歳~1歳の乳幼児期に、38℃以上の突然の発熱が3日ほど続いた後、解熱とともにおなかや背中を中心に発疹が出て、全身に広がる。稀に脳炎などを合併することがある。 |
感染経路 |
経口感染(注釈3)の可能性がある |
予防・治療方法 |
予防接種はない。通常予後良好な疾患である、特別な予防法はない。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
ヘルパンギーナ
潜伏期間 |
2日~4日 |
症状・特徴 |
主にコクサッキーウイルスA群による感染症である。いわゆる「夏風邪」の代表的疾患である。乳幼児を中心に初夏から秋にかけて報告数が増加する。38℃以上の突然の発熱に続き、咽頭痛・口の中に水疱(小さな水ぶくれ)ができる。高熱による倦怠感や口の中の痛みのため、食事や水分をとれず脱水症状を起こすことがある。合併症としては、熱に伴う熱性けいれんと、稀に髄膜炎や心筋炎が生じることがある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2)・経口感染(注釈3) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、手洗い・咳エチケットが有効。 症状がおさまった後も2週間から4週間、便にウイルスが排出されるのでトイレの後やオムツ交換の後、食事前には必ず手洗いをする。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
流行性耳下腺炎
潜伏期間 |
2週間~3週間 |
症状・特徴 |
ムンプスウイルスによる感染症である。一般的に「おたふくかぜ」と呼ばれる。両側又は片側の耳下腺(耳の下)の腫れと痛み、発熱が主症状である。他の唾液腺の腫脹を見ることもある。耳下腺開口部の発赤が認められるが、膿汁の排泄はない。合併症としては、稀に髄膜炎、精巣炎、膵炎、難聴などがある。小児に多い感染症だが、成人が感染すると症状が重くなる傾向がある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種あり。(1歳以上、任意接種、2回接種、集団に入る前に行う。) 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
急性出血性結膜炎
潜伏期間 |
1日 |
症状・特徴 |
エンテロウイルス70型及びコクサッキーウイルスA24変異型による感染症である。突然の強い目の痛み、異物感で始まり、結膜の充血や出血を伴うことが多い。目のむくみ、目やに、まぶたの腫れ、目の表面の濁りが出ることがある。全身症状として、頭痛・発熱・呼吸器症状などが見られる。約1週間で治癒するが、6か月~12か月後に運動麻痺が起こることがある。 |
感染経路 |
接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、石鹸と流水で手洗いすること・タオルなどの共有を避けることが有効。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
流行性角結膜炎
潜伏期間 |
8日~14日 |
症状・特徴 |
アデノウイルスによる眼感染症である。一般的に「はやり目」といわれる。急に発症し、結膜の充血、まぶたの腫れ、涙を伴う。耳の前のリンパ節に腫れが出ることがある。感染力が強いので両眼のこともある。 |
感染経路 |
飛沫感染(注釈1)・接触感染(注釈2) |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、石鹸と流水で手洗いすること・タオルなどの共有を避けることが有効。 治療は、症状に応じた対症療法が行われる。 |
急性呼吸器感染症
目的 |
1 流行しやすい急性呼吸器感染症の発生動向の把握。 2 未知の呼吸器感染症が発生し、増加し始めた場合に迅速に 探知する体制の整備。 3 国内の急性呼吸器感染症の発生状況について、国民や医療関係者の皆様へ情報が共有できる体制を整備。 |
定義 |
急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)とは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)又は下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を指す病原体による症候群の総称である。 |
症例定義 |
咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のいずれか 1 つ以上の症状を呈し、発症から10日以内の急性的な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例である。 |
根拠 |
感染症法施行規則の改正により、令和7年4月7日から急性呼吸器感染症が感染症法上の五類感染症に位置付けられ、定点把握疾患の対象となる。 |
注釈1 飛沫(ひまつ)感染とは、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸い込むことによる感染
注釈2 接触感染とは、ウイルスが付着した手やタオルなどの患者が触れたものを介する感染
注釈3 経口感染とは、汚染された食品を食べることによる感染
注釈4 空気感染とは、患者の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれていたウイルスなどが空気中に漂い、そのウイルスなどを吸い込むことによる感染
注釈5 エアロゾル感染とは、厳密な定義はないが患者の排出したエアロゾル(飛沫より更に小さな水分を含んだ状態の粒子)を吸い込むことによる感染
エアロゾルは空気中に留まることがあり、密閉空間では1m以上離れていても感染が拡大するリスクがあるため、空気予防策が有効である
月報対象疾患
性器クラミジア感染症
潜伏期間 |
1週間~3週間 |
症状・特徴 |
クラミジアに感染することによる性感染症である。男性は尿道炎によりかゆみを感じるなど症状がでることがある。女性は子宮頸管炎や不妊を起こすことがあるが、多くは自覚症状がない。咽頭に感染した場合、咽頭炎により首のリンパ節が腫れる。妊婦が感染すると、流産や早産の原因になることがあり、分娩時に新生児が感染すると結膜炎や肺炎を起こすことがある。 |
感染経路 |
性交や性交類似行為、母子感染 |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、性行為だけでなく性交類似行為も含む性的接触時にコンドームを使用することが有効。 治療は、抗生剤等による治療が行われる。 |
性器ヘルペスウイルス感染症
潜伏期間 |
3日~7日 |
症状・特徴 |
単純ヘルペスウイルスに感染し、性器又はその周囲に水泡や発疹、痛み、リンパ節の腫れ、また発熱などを発症したもの。再発することもある。また感染しても無症状で気づかないことも多くある。 |
感染経路 |
性交や性交類似行為、母子感染 |
予防・治療方法 |
予防接種はない。予防には、性行為だけでなく性交類似行為も含む性的接触時にコンドームを使用することが有効。 治療は、抗生剤等による治療が行われる。 |
尖圭コンジローマ
潜伏期間 |
数週間~2、3ヶ月 |
症状・特徴 |
ヒトパピローマウイルスに感染し、性器周囲に発症したもの。性器、肛門及びその周囲にカリフラワー状や扁平ないぼが複数あるいは単独にできる。 |
感染経路 |
性交や性交類似行為、母子感染 |
予防・治療方法 |
予防接種あり。(四価HPVワクチン) 予防には、性行為だけでなく性交類似行為も含む性的接触時にコンドームを使用することが有効。 治療は、薬物療法、凍結療法及び外科的療法がある。 |
淋菌感染症
潜伏期間 |
2日~9日 |
症状・特徴 |
淋菌に感染することによる性感染症である。男性は急性尿道炎が発症し、放置すると前立腺炎、精巣上体炎となる。女性は子宮頚管園や尿道炎をおこすが、多くは自覚症状がない。 |
感染経路 |
性交や性交類似行為、母子感染 |
予防・治療方法 |
予防接種はない。 予防には、性行為だけでなく性交類似行為も含む性的接触時にコンドームを使用することが有効。 治療は、抗生剤等による治療が行われる。 |
この記事に関するお問い合わせ先
保健予防課(感染症担当)
〒572-0838
大阪府寝屋川市八坂町28番3号(寝屋川市保健所)
電話:072-829-7773
ファックス:072⁻829⁻1247
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更新日:2025年05月01日