平成21年度市長市政運営方針
平成21年3月市議会定例会における馬場好弘市長の市政運営方針です。
~平成21年3月3日~
本日、3月市議会定例会にあたり、平成21年度の「市政運営方針」を申し上げます。
はじめに
今、世界は、米国の金融危機に端を発した世界同時不況をはじめ、地域紛争やテロ、地球温暖化等、喫緊の課題への対応を迫られています。
そうした中、第44代米国大統領に就任したバラク・オバマ氏は、世界の変化に伴う米国再生の必要性をとなえ、希望と美徳をもって困難に立ち向かおうとしております。
わが国においても、世界不況の影響により、戦後最大の経済危機ともいわれる中、2月に公表された実質国内総生産が年率換算12.7%の落ち込みを見せ、景気の減速、雇用情勢の悪化、消費の低迷や設備投資の減少など閉塞感が深まっております。
自治体においては、経済不況の影響による地域の雇用不安が広がり、社会保障費は増加し続ける中、さらなる税収の落ち込みも懸念されており、市民生活への影響も憂慮される事態であります。
しかしながら、これまでの既成概念を打ち破り、不況の中にあっても、知恵と工夫で新たなチャンスを見出し、躍進している企業もあります。
今こそ私たちは、これまで築いてきた市民協働の礎のもと、知恵を絞り、改革を断行し、この厳しい状況をさらなる飛躍へのチャンスに変えていかなければなりません。
本市では、平成12年に策定した「行財政改革大綱」のもと、議員並びに市民の皆様のご指導・ご理解をいただき、思い切った改革に取り組み、扶助費の増加やまちづくりなどに対応するとともに、財政の健全化に努めてまいりました。平成16年度以降、普通会計決算の実質収支において黒字を確保することができ、平成19年度決算から公表が義務付けられた財政指標は、いずれも早期健全化基準を下回っております。
改革は着実に成果をあげております。私たちの歩みはわずかな一歩かもしれませんが、確かな歩みでもあります。
誇れる未来へ向かい、力強くその歩みを進めていくためには、改革の手綱をしっかりと握り、現下の厳しい社会経済情勢、少子高齢社会の進展など本市を取り巻く多くの課題を克服していかなければなりません。
私は、今後より一層、健全で持続可能な財政構造の構築に努めるとともに、市民が魅力を感じるまちづくりに、決意も新たに取り組む所存であります。
愛される“ねやがわ空間”の創出をめざして
私は、本年度を新たなステージのはじまりと考えております。
先行き不透明な時代だからこそ、まちの将来をしっかり見据えなければなりません。
これまで取り組んでまいりました、再開発事業や第二京阪道路及びアクセス道路が完成する平成22年、23年を迎えるにあたり、本市の将来像を示す第五次総合計画の策定に本格的に着手し、都市計画マスタープランや環境基本計画、第4期男女共同参画プラン等の策定に取り組んでまいります。
また、地方分権が進み、地域の課題は地域が自ら解決していくことが求められる中、みんなで考え、みんなでつくるという「みんなのまち基本条例」の理念に基づく、「協創のまちづくり」を実践する市政運営がますます重要になってまいります。
市の活力を維持・向上させる原動力は“人”であり、まちを活性化するためには、人が「住み続けたい」「住みたい」「行ってみたい」と思える空間づくりが必要であります。
まちのにぎわいや魅力を今後ますます向上させていかなければなりません。居心地の良さや独創性のある魅力・景観・空気感をもった愛される“ねやがわ空間”の創出に戦略的に取り組んでまいります。
まちにはそれぞれ独自の資源があり、その資源がまちの空気感や雰囲気を作り出します。私たちのまちは誇りうる地域資源を数多く有しております。
しかしながら、いかなる魅力も人に伝わらなければ、資源の有効活用にはいたりません。すぐれた情報編集・発信力をもって、“ねやがわブランド”を内外へ積極的に発信し、まちのイメージアップを図ってまいります。
まちの魅力づくりを進めるためにも、今後より一層、財政基盤を強化するとともに、政策・施策を精査し、バランス感覚をもって自治経営を行わなければなりません。
本年度は、新たな行財政改革の方針を示すとともに、「第4期定員適正化計画」の策定などを進めてまいります。さらに、「法令遵守に関する条例」の制定に加え、人材育成・人事制度の基本方針のもと、人事評価制度や研修制度の充実などに取り組み、少数精鋭による効率的・効果的なサービス体制を構築いたします。
さらなる財政の健全化に向け、人件費をはじめ、経常経費の一層の削減を図り、市税徴収率等の向上、上下水道事業の組織統合に向けた検討、国民健康保険特別会計の累積赤字の解消に取り組んでまいります。
現在は、「待ったなしの改革」から改革の成果を市民サービスに活かす「深化した改革」を進めており、その成果をこれまで以上に市民サービスの向上に活かしてまいりたいと考えております。
本年度は、以下、5つの施策を基本とし、市政を運営してまいります。
第一は、安全で安心できるまちの実現であります。
近年、各地で安全・安心を脅かす災害や事件・事故が多発いたしております。
近畿圏では、東南海・南海地震が今後30年以内に高い確率で発生するといわれています。新型インフルエンザ・ウイルスによる爆発的な感染(パンデミック)にも警戒が必要であります。また昨年は、市内においてもゲリラ豪雨による多くの被害が発生いたしました。
時に、危機は私たちの想像を超え、猛威を振るいます。その危機を乗り越えるためには、確かな備えと危機に対する共通の認識、そして助け合いの精神が不可欠であります。
非常事態のときには、協働による対応がより一層重要となります。市民生活にかかわる危機への意識を高めるため、自主防災訓練への支援等に取り組むとともに、「(仮称)安全なまちづくり条例」を制定するなど、市民協働による安全で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。
○「危機管理対応指針」に基づき、危機管理体制を強化します。
○浸水対策として、水路改修や校庭貯留浸透施設を整備するとともに、調節池や増補幹線の整備を引き続き大阪府に要望してまいります。
○旧あやめ保育所跡地を、耐震性貯水槽など防災機能を備えた公園広場として整備します。
○「市有建築物耐震化実施計画」に基づき、公共施設の耐震化に取り組みます。
○過密住宅地区については、防災面に配慮し、地区の再整備を促進します。
○建築物の不燃化を規制誘導する準防火地域の指定拡大に向けて取組を進めます。
○全公共施設へのAED設置を完了します。
○防犯パトロールベストを配付し、防犯意識の啓発と地域防犯活動を促進します。
○経年配水管の更新や水道施設の耐震化を推進します。
第二は、未来を担う子どもが育つまちの実現であります。
いま、未来を担う子どもを取り巻く環境は、大変憂慮すべき状況であります。
近年、若者による動機のはっきりしない無差別な通り魔的事件や児童虐待によって子どもが犠牲となる痛ましい事件が発生し、加えて、いじめや不登校などが懸念されております。今、大きな社会問題となっている児童・生徒の携帯電話の取扱いについて、家庭・地域と協力し、取組を一層進めてまいります。
また、全国調査において、市内公立小・中学生の学力・体力が、ともに全国平均を下回る結果であったことは、非常に残念なことであります。市を挙げて対応していかなければなりません。
学力・体力だけでなく、道徳観や思いやり、助け合いといった社会生活を営むための重要な力である「心力(心の力)」を、家庭・地域・学校園で協力して高めていかなければなりません。
「すこやかネット」や「学校支援地域本部」、「子どもの安全見守り隊」等、ともに考え、ともに行動する土壌を活かし、協働して子どもを育むことが必要であります。
今後も、小中一貫教育を推進し、少人数教育、英語教育、情報教育等、より質の高い教育に取り組むとともに、家庭・地域と力を合わせ、心力・学力・体力の向上に取り組んでまいります。
また、出生率が低下している中で、出産・育児に対する不安や悩みは、新しい命への期待や喜びとともに誰もが抱く思いであります。その不安や悩みを乗り越えることができる環境をつくらなければなりません。
親と子どもが未来に夢や希望を持てる子育て支援に取り組んでまいります。
○学校施設の耐震化については、耐震補強工事を8小学校・4中学校、耐震補強設計を11小学校・5中学校で実施し、現計画の期間短縮を図ってまいります。
○民間人校長を活用するなど、市内学校園の活性化や教育改革をさらに進めます。
○英語特区によるこれまでの成果を検証し、英語教育をより一層推進します。
○子育て経験者や専門家の訪問による家庭教育の相談体制を充実します。
○地域の人材を生涯学習や子どもたちの放課後活動等の支援に向けた「まちのせんせい」として養成してまいります。
○妊婦健康診査は、他府県での診査も対象とするとともに、新たに歯科健康診査を実施するなど充実を図ります。
○民間保育園を活用した地域の子育て支援を実施します。
○「こどもプラン後期計画」の策定に取り組みます。
第三は、環境を大切にするまちの実現であります。
今も昔も、人はその暮らしの中で、自然の恩恵に浴し、限りある資源を消費してきましたが、産業革命以降、膨大な量の廃棄物や温室効果ガスの排出など、地球環境に負荷を与え続けております。
今や地球環境の悪化は未曾有の状態といわれ、資源の枯渇が進むほか、海面温度の上昇等による超大型ハリケーンの発生や、急激な高温乾燥によるオーストラリアの大規模な山林火災など、異常気象による甚大な被害が発生しております。また、環境白書によると地球上で毎年、四国と九州を合わせた面積に匹敵する約6万平方キロメートルもの土地が砂漠化しているといわれています。
地球環境は、今を生きる私たちだけのものではありません。
行政はもとより、今後ますます一人ひとりが、資源循環型社会の構築へ向け、環境保全について考え、行動していかなければなりません。
「北河内4市リサイクルプラザ」によるペットボトルやプラスチック製容器包装のリサイクル中間処理を進め、資源循環型社会の構築に努めてまいります。
また、古紙・古布等の資源集団回収は、限りある資源の有効活用という共通の認識のもと、子どもたちも参加する世代を超えたリサイクルへの協働事業であります。今後ともこうした活動を引き続き支援してまいります。
○「環境基本計画」及び「一般廃棄物処理基本計画」の策定に向け、基礎調査を行います。
○ごみ焼却施設の建替えに向け、処理の現状や課題を多角的に検討し基本構想を策定します。
○「エコライフ日記」を小学校に配布し、引き続き子どもたちへの環境教育を実施します。
○「美しいまちづくり条例」に基づき、市域の良好な生活環境の向上に努めます。
○クリーンリバーやクリーンロード等、市民協働による啓発・美化活動に取り組みます。
第四は、市民の健康と人にやさしいまちの実現であります。
市民の元気は、まちの元気の源であります。誰もが健康で生きがいを感じ、いきいきと暮らすことのできるまちをつくらなければなりません。
少子高齢社会が進展する中、健康・福祉に対する市民ニーズは、ますます多様化・高度化しております。
とりわけ、医療問題では、医療費の増大に加え、医師不足や公的病院の経営難等が切実な社会問題となっております。このような中、市民が安心して医療を受けられる環境づくりのため、地域医療の核となる関西医科大学香里病院の平成22年8月開院に向け、特にニーズの高い小児科の設置など病院機能や診療体制等の基本的事項に関する協定を締結してまいります。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)への対策は、生活習慣病の予防にとって重要な取組であり、引き続き特定健診・特定保健指導など市民の健康維持・増進に努めてまいります。
高齢化の進展は、みんなが祝う長寿社会の到来であります。
介護保険については、予防や居宅介護をさらに進めるとともに、制度の円滑な運用を行い、一層の自立支援やサービスの充実を図ってまいります。
さらに、高齢者が生きがいをもって地域で暮らせるための「高齢者保健福祉計画」、障害者の自立支援を図る「障害福祉計画」、健康で安全な食生活を実践するための「食育推進計画」などに取り組み、市民一人ひとりのライフステージに応じたきめ細かい保健・福祉施策を推進してまいります。
誰もが基本的人権と尊厳を保障される社会の実現が求められております。「人権尊重のまちづくり条例」の理念に基づき、互いを尊重し合えるまちづくりに引き続き取り組んでまいります。
○高齢者の社会参加活動を通じた介護予防を推進するため介護支援ボランティア制度を創設します。
○「地域包括支援センター」を地域ケアの拠点とし、高齢者の自立した生活を支援します。
○「地域福祉計画」の改定に向け、市民意識調査を行います。
○ジェネリック医薬品への切り替えに向けた普及啓発等を行い、医療費負担の軽減に努めます。
○市民の健康増進を図るため、中木田公園ほか11か所に健康遊具を設置します。
○市民生活におけるセーフティネットとしての役割を踏まえ、生活保護制度をより一層適正に運用します。
○京阪萱島駅前広場のバリアフリー化を進めます。
○「第4期ねやがわ男女共同参画プラン」の策定に向け、市民意識調査を行います。
第五は、都市機能の充実とにぎわいのあるまちの実現であります。
自治経営には、“今を生きる者”と“次代を生きる者”、両者の視点に立ち、市民サービスを維持向上させていくとともに、将来を見据えたまちづくりを確実に進めていくというバランス感覚が欠かせません。
かつての都、平安京は碁盤の目のごとく街区を整備し、都市機能の充実とにぎわいの創出をめざした、わが国史上代表的なまちづくりといえます。そして、その都市基盤を受け継いだ京都は、1200年以上経た現代でも付加価値の高い都市として世界に知られております。
都市基盤の整備は、地域の潜在力を発揮するための重要な土台づくりであります。過去の急激な人口増加の対応に追われてきた本市は、都市基盤を強化する必要があります。そのため引き続きその整備に取り組み、本市の可能性を最大限に引き出していかなければなりません。
二つの再開発事業や区画整理事業、京阪本線連続立体交差事業をはじめ、都市計画道路等の整備は、未来にわたって本市が繁栄していくために必要不可欠な事業であります。まちの将来を見据え、にぎわいを創出するための未来への投資としてまちの基盤づくりを着実に推進してまいります。
また、次代に誇れるにぎわいあるまちをつくるには、都市基盤の整備とともに、まちの魅力づくりが不可欠であります。市民が親しみと愛着をもてる景観形成をめざし「(仮称)景観条例」を制定してまいります。
○「寝屋川市駅東地区第二種市街地再開発事業」及び「香里園駅東地区第一種市街地再開発事業」を進め、魅力ある都市核の形成を図ります。
○「都市計画道路寝屋川駅前線」について、再開発区域以東の事業認可を受け、事業の推進に努めます。
○第二京阪道路の供用開始に向け、アクセス道路を整備するとともに、沿道地区の良好なまちづくりを進めるため、「寝屋南土地区画整理事業」を支援します。
○「京阪本線連続立体交差事業」の都市計画決定等に必要な調査・設計等を実施します。
○「住宅マスタープラン」の策定に向け、基礎調査を行います。
○市民文化力の向上、文化活動のより一層の推進を図るため、「(仮称)文化振興条例」を制定します。
○「ブランド戦略室」を設置するとともに、民間人材を登用し、情報発信力の強化と市民サービス向上を図り、ねやがわブランドの確立に向け取組を進めます。
結 び
日本を直撃した経済危機などにより国・自治体ともに深刻な財政難にある一方で、大阪発による「関西州」実現に向けた議論が活発になっております。行政のありようは、国が主導する地方分権から、われわれが主体性をもって地域をつくる真の地方分権へと変えていかなければなりません。住民にもっとも身近な基礎自治体である市町村は、自己責任、自己決定のもと独自のまちづくりに取り組む必要があります。
私は、厳しい情勢に迅速に対応するため、市民ニーズを的確に把握し、「広く浅く」ではなく、「選択と集中」を行い、「改革」と「協働」を両輪とし、市政運営を行ってまいります。
孟子の言葉に「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」があります。
私たちは、次代を担う子どもたちに誇りをもってこのまちを引き継ぐため、何ものにも勝る人心の和をもって、心を一つにし、まちの未来を切り拓いていかなければなりません。
市民の皆様と目標を共有し、ともに考え、ともに行動し、現下の困難を乗り越えてまいります。
市民のまちを愛する想い、いつまでも住み続けたいという想いは、まちづくりの大きな原動力であります。
将来を見据えたまちづくり、魅力あるまちづくりに積極的に取り組み、まちの活力・地域の活力・人の活力を高め、みんなが愛着と誇りをもてる『ふれあいと活力に満ちたまち 元気都市 寝屋川』の実現へ向け、職員と一丸となって勇往邁進してまいります。
[平成21年度当初予算案]
平成21年度当初予算案につきましては、
○一般会計 711億5,000万円(対前年度比1.9%増)
○特別会計 496億9,600万円(対前年度比0.7%減)
(国民健康保険特別会計 外4特別会計)
○水道事業会計 59億200万円(対前年度比8.3%減)
○合計 1,267億4,800万円(対前年度比0.4%増)
であります。
議員並びに市民の皆様におかれましては、格段のご支援・ご協力をいただきますよう、心からお願い申し上げます。
平成21年度市長市政運営方針
用語の解説
| 天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず | 天がもたらす幸運は地勢の有利さにはかなわない、地勢の有利さは人心の和にはかなわないという意味で、紀元前の中国の思想家・孟子が残した言葉。 |
| 介護支援ボランティア制度 | 高齢者の社会参加活動をとおして介護予防を推進するため介護保険施設などにおける話し相手、行事手伝いなど一定の社会参加活動をした高齢者に、その活動実績に基づく、評価ポイントを交付するものです。 |
| 新型インフルエンザ・ウイルス | 鳥類のインフルエンザ・ウイルスが、鳥から人に感染し、人から人へ容易に感染するよう変異したウイルスのことです。世界的に大流行し、大きな被害をもたらすことが危惧されています。 |
| ジェネリック医薬品 | 新薬の特許期間(20~25年間)が切れたあとに、品質、有効性安全性が同等であるものとして、製造販売が認められた後発医薬品のことです。 |
| ブランド戦略室 | 市のイメージアップを図るため、“ねやがわブランド”の確立をめざし、情報発信、企画立案、調査・研究などを行う組織のことです。 |


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